この記事では、「ご用命」と「ご依頼」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ご用命」とは?
「ご用命」とは、「用命」を敬語とする接頭語の「ご」を付けたものです。
そして「用命」とは、ビジネス上の取引において商品やサービスを発注する行為のことを意味します。
「ご用命」は敬語の形ですので、お客様や上司等の目上の人に対して使用すべきで、同僚や部下に対しては使うべきではありません。
また、「ご用命」は受け身の用法でのみ使用される点が特徴であり、注意が必要です。
具体的な事例としては、『取引先からご用命を承る』『ご用命頂ければ幸いです』のように、受け身で使われるのです。
決して『ご用命させて頂きました』のような使い方をする事はありません。
使用する際には、この点を間違わぬ事が重要です。
「ご依頼」とは?
「ご依頼」とは、「依頼」を敬語とする接頭語の「ご」を付した言葉で、「依頼」はどなたもご存知の通り、人に用件を頼むことを指す言葉です。
『ご依頼を引き受ける事にしました』や『あのノーベル賞学者に執筆のご依頼をさせて頂きました』のように使用されます。
「ご依頼」はこの使用例のように、自分が「依頼」された受け身の場合のみならず、こちらが相手に「依頼」する場合にも使われる言葉です。
ちなみに、「依頼」には、人に用件を頼み意味の他に、他人を当てにする意味もあり、『彼女は依頼心が強い』のように使われます。
しかし、この使い方で「ご」を付けた敬語として使用する事はないと言えます。
「ご用命」と「ご依頼」の違い
「ご用命」は、ビジネス上の取引において商品やサービスを発注する行為のことを意味する「用命」の敬語であり、「ご依頼」は人に用件を頼むことを意味する「依頼」の敬語です。
こうして比較すると、ほぼ同じ意味の言葉に思えますが、その使い方は全く違う言葉です。
「ご用命」は受け身の用法でのみで使用される点が特徴であり、一方の「ご依頼」は自分が「依頼」された受け身の場合のみならず、こちらが相手に「依頼」する場合にも使う事が出来る言葉なのです。
「ご依頼」は日常でもよく使いますが、「ご用命」はビジネスや儀礼等のあらたまったシーンでのみ使われる事が多く、使い慣れていない人が多いと言えます。
それだけに、「ご用命」は受け身の用法でのみ使用されると言う点を、特に間違わないように注意する必要があります。
まとめ
「ご用命」は、ビジネス上の取引において商品やサービスを発注する行為のことを意味する「用命」の敬語であり、「ご依頼」は人に用件を頼むことを意味する「依頼」の敬語です。
意味としては似た言葉ですが、「ご依頼」は自分が「依頼」された受け身の場合のみならず、こちらが相手に「依頼」する場合にも使う事が可能ですが、「ご用命」は受け身の用法でのみ使用されると言う点が大きく違う言葉なのです。
「ご用命」を使う場合には、この受け身でしか使えない点を忘れない事が大切です。