この記事では、「メリハリ」と「けじめ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「メリハリ」とは?
「メリハリ」とは、ゆるむ様子と張る様子のこと、強弱をつけること、またはその差がはっきりしていることです。
主に「メリハリがある」「メリハリをつける」「メリハリがきく」という使い方をします。
「メリハリ」の語源は、邦楽で使われる用語の「滅上」「乙甲」【めりかり】です。
減り・乙【めり】は音程が下がること、乙・上り【かり】は音程が上がることを指し、それらを併せた「減上」または「乙甲」は、音の高低や抑揚を意味する言葉になっています。
現代では、乙・上りが転じて張り【はり】に変わり、漢字で「乙張り」「減り張り」と表記して「メリハリ」とよばれるようになりました。
「メリハリ」は、邦楽用語の「めりかり」が持つ意味のように音の抑揚を意味するものですが、現代では声や話し方の抑揚、物事の強弱や差の大きさを表すときに用いることが多くなっています。
「メリハリ」の例文
・『メリハリをつけてセリフを言う』
・『だらだら過ごさないで、メリハリのある生活を送ろう』
・『彼の絵画は、メリハリのきいた色使いが斬新だ』
「けじめ」とは?
「けじめ」とは、物事の区別をはっきりさせること、ある物とほかの物の境目のことです。
節度のある行動に関連しており、「けじめをつける」「けじめのある」などの使い方で、主に「節度のある態度をとること」を表します。
「けじめ」は、日本で古くから使われてきた大和言葉です。
語源は、囲碁用語の「結」【けち】にあるといわれます。
かつては、囲碁の一局の終盤戦を「結」と呼んでいました。
そのけちが「けじめ」に派生したのではないかと考えられています。
そのほか、古い言葉の「けちえん」「分かち目」が「けじめ」に転じたのではないかという説もあります。
現代では、大きく分けて3つの意味で用いられます。
1つは物事の境目や節目をはっきりさせること、2つ目は節度のある態度をとること、3つ目は過失に対して責任をとることです。
「けじめをつける」という言い方で、上記の「過失に対して責任をとること」を指す表現となります。
「けじめ」の例文
・『彼女との交際にけじめをつけて、ようやく結婚に踏み切る』
・『夏休みの間は、けじめのある生活を送ることが大切だ』
・『問題を起こした上司がけじめをつけるために辞職した』
「メリハリ」と「けじめ」の違い
「メリハリ」と「けじめ」の違いを、分かりやすく解説します。
「メリハリ」とは、声の高低や話し方に抑揚があること、または物事の強弱がはっきりしていることです。
「けじめ」は物事の境目や節目、または節度のある行動や過失に対して責任をとることを意味します。
どちらも「~のある」「~をつける」という使い方ができ「メリハリのある」と「けじめのある」は、規則正しく節度のあるさまを指す表現となります。
ただし「メリハリをつける」と「けじめをつける」が表す意味は別です。
「メリハリをつける」は抑揚や強弱の差をはっきりさせること、「けじめをつける」は何かの節目に態度を一新させること、過失に対して責任をとることを指しており、言葉が持つ意味の違うことが分かります。
まとめ
「メリハリ」「けじめ」はどちらも古くから存在する言葉で、日本人になじみのある言葉です。
両者はそれぞれ異なる所から派生した言葉で意味も異なりますが、混同されがちです。
うっかり使い方を間違えないよう、正しい意味を覚えておきましょう。