「億劫」と「面倒」の違いとは?分かりやすく解説

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「億劫」とは?

「億劫」「おっくう」と読み、気が乗らない、気が進まないこと、疲れていてやる気にならないことなどを意味します。

「億」という漢字はほかに、「おしはか-る」という読みもあり、一万の一万倍の単位を表すほかに、数が多いことや、おしはかること、といった意味を持ちます。

「劫」という漢字にはほかに、「キョウ」「ゴウ」「コウ」「おびや-かす」「かす-める」という読みがあり、おびやかすことのほかに、とても長い時間のことを言います。

「面倒」とは?

「面倒」とは、手がかかる、世話が焼けることや、そのせいで煩わしく思うことを意味します。

「面」の漢字にはほかに、「おもて」「つら」などの読みがあり、おもて、うわべ、向き、などを意味します。

「倒」という漢字はほかに、「たお-れる」「たお-す」「さかさま」などの読みがあり、倒れること、さかさまになること、程度がはなはだしいことなどを意味します。

「億劫」と「面倒」の違い

「億劫」「面倒」の違いは、主体となる人物が、その対象についてどう感じているか、が重要となります。

「億劫」は、ほかにやることがないようなときですら、それをやるのが嫌だ、つまらない、退屈だ、と感じている場合に使われます。

「面倒」は、時間がかかる、という意味あいが強く、やりたくない、つまらない、という感情は二の次になります。

より、やりたくないなあ、と感じるときには、「面倒」よりも「億劫」を使うと気持ちが伝わりやすくなる、ということです。

「面倒」の使い方の例

では、「面倒」はどのようなときに使われているか、例文を見ていきましょう。

次に挙げる「億劫」の例文ともあわせてご覧ください。

「面倒」の例文1

「後輩の世話役は面倒だが、慕われると悪い気はしない」

自分もキャリアを伸ばしたい、というときに後輩のことまで気にかけなければならないのは、足を引っ張られるように感じることもあります。

しかし、その中にもやりがいや喜びを見つけることもあります。

このように、時間や手間はかかるが、やりたくないわけではない、というときに「面倒」を使うといいでしょう。

「面倒」の例文2

「怒っているときの彼女をなだめるのは面倒だ」

怒り始めると何を言っても逆上する、というタイプの人を相手にするときは、とても面倒だと感じます。

しかし、怒っているときだけがその人ではなく、ほかにとても魅力を感じる部分もあるからこそ、付き合いを続けていきます。

「億劫」の使い方の例

では次に、「億劫」の例文を見ていきます。

「面倒」との違いを照らし合わせながら見ていくと頭に入りやすいでしょう。

「億劫」の例文1

「筋肉痛で動くのが億劫だ」

肉体改造に燃えている人であれば、筋肉痛に快感を覚える、という方もおられるかもしれませんが、日頃あまり運動をしない人にとっての筋肉痛は、動きを鈍らせるには十分なほどの辛さや不快感を与えます。

なにもしたくないほどの筋肉痛は、「億劫」というほかないでしょう。

「億劫」の例文2

「梅雨の通勤ほど億劫なものはない」

仕事にどんなにやりがいを感じていても、朝、家を出て五分でびしょびしょ、というのでは気分も晴れません。

ワープしたいほど、と感じたことのある人も多いのではないでしょうか。

このように、できれば避けたい事柄に関しては、「億劫」を使うといいでしょう。

「億劫」の語源

「億劫」とはもともと、仏教の用語として使われ、きわめて長い時間のことをいいました。

「億劫」とは「一劫」の一億倍ということですが、「一劫」とは、百年に一度しか舞い降りることのない天女が、自身のまとっている羽衣でなでた山頂がすこしずつ摩擦によって削られ、なくなるまでの時間を意味します。

「億劫」がどれだけ長い時間というと、もはやわからないほどです。

「面倒」の語源

「面倒」という言葉の語源には諸説あり、見ることすら無駄である、という意味の「目どうな」や、「馬道」「面伏せ」から来ているとする説のほかに、かわいがる、いとおしむという意味の「めでる」から転じたとする説、また、感謝の気持ちを表す「めったい」という方言から転じたという説もあります。

どの説の場合も、字は当て字とするものばかりです。

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