「全滅」と「殲滅」は、新聞やニュース、ゲームなどでよく使う言葉で、字面も似ていて意味も似ているように思える言葉ですが、実際はどのような意味の違いがあるのでしょうか。
この記事では「全滅」と「殲滅」の違いについてわかりやすく説明していきたいと思います。
「全滅」の意味とは?
「全滅」とは、残らず滅びることや、滅ぼすことをあらわします。
敵をすべて倒したり、みんな死んでしまったり、全体が駄目になったりすることを「全滅」といいます。
読み方は「ぜんめつ」であり、「全てを滅する」と書いて「全滅」です。
この言葉は日常生活やゲームの中などでも使うことがありますが、軍事用語でもあり、軍事用語においての「全滅」は大部隊の3割が殺されたことで組織としての戦闘が不可能になってしまう状況をいいます。
これはだいたいの大部隊での話であるので例外もありますが、人数のおおよそ3割、戦闘担当要員だけで見たときの6割の戦力を消耗すると、全員が死んでいなくても「全滅」といいます。
負傷した者手当や後送に当てる人数を割いたり、戦意喪失する者がいたりするので、組織全体が戦える状況ではなくなり、「全滅」とみなされてしまうのです。
「殲滅」の意味とは?
「殲滅」とは、皆殺しにすることや相手を滅び尽くすことをあらわします。
読み方は「せんめつ」、「滅ぼすこと」や「殺し尽くすこと」をあらわす「殲」と「滅びる」をあらわす「滅」で、「殲滅」です。
同じような意味をもつ漢字を重ねることで「滅ぼす」という意味を強調しています。
「殲滅」はひとり残らず殺したり滅ぼしたりするときに使います。
ですので、相手がひとりでも残っていれば「殲滅」とはいえないのです。
またこの言葉はほとんど人間にのみ使われる言葉です。
そしてこの「殲滅」は軍事用語でもあり、この場合もひとり残らず殺すことをいい、「殲滅作戦」は相手の部隊を皆殺しにするための作戦という意味です。
「全滅」と「殲滅」の違いについて
「全滅」と「殲滅」には大きな違いがいくつかあります。
まず「全滅」は日常生活でも使い、仕事などでも使うことができる比較的浸透した言葉であり、少し軽い意味で使われることもあります。
それに対して「殲滅」は、戦争やゲームの中でも戦いといった物騒な重い場面で使うことが多い言葉です。
どちらも軍事用語としても使われていますが、その場合は「全滅」は「大部隊の3割(戦闘要員の6割)が倒された状態」をいいます。
「殲滅」はというと「ひとり残らず殺された状態」を指しています。
つまり、「殲滅」のほうが「全滅」よりも重い言葉であるということです。
「全滅」を使った例文を紹介
・『インフルエンザが流行し、クラスは全滅、学級閉鎖だ。僕も含め数人はかからなかったが、十分に気をつけなければならない。』
「殲滅」を使った例文を紹介
・『昔の戦争の話を本で読んだが、殲滅作戦とは思っていた以上に残酷なものだ。とくに圧倒的な戦力の差がある場合はどうしても、そこまでしなくてもいいだろうとか、捕虜にすればいいのにとかを思ってしまう。』
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「全滅」と「殲滅」は、似ているようでかなり違った意味をもった言葉でした。
とくに「殲滅」はかなり重い意味を持っている言葉ですので、使いどころに気をつけましょう。