近年のニュースでは「刑務所」はよく耳にしますが、「監獄」はすっかり聞かなくなりました。
果たして日本に「監獄」はあるのか、また、「刑務所」とは違う意味なのか気になっている方も多いかもしれません。
この記事では、「刑務所」と「監獄」の違いを分かりやすく説明していきます。
「刑務所」とは?
懲役・禁錮・拘留に処せられた犯罪者を収監するのが、「刑務所」です。
刑事施設の一種で、特定の刑に処せられた者のみを収監するのが特徴となります。
根拠法は平成19年施行の刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律です。
同法によって刑務所の設置から、所内での生活などが広範囲にわたって規定されています。
なお、「刑務所」は幾つかの種類があるのも特徴です。
女性専用の「女子刑務所」や道路交通法に限定した「交通刑務所」、少年院とはまた別の「少年刑務所」も設けられています。
「監獄」とは?
こちらも犯罪者を収監する施設です。
日本の法律上は、「刑務所」が登場する以前に、似たような役割を持つ刑事施設でした。
現在は監獄法の廃止により、「監獄」の呼称は姿を消しています。
幅広い犯罪者、特に死刑囚もまとめて収監していたのが特徴です。
加えて刑事被告なども受け入れており、広汎な活用がなされていました。
明治から平成中期にかけて運用されており、有名なものに「網走監獄」や「奈良監獄」があります。
現在はいずれも「刑務所」が取ってかわっていますが、遺産として観光スポットになっている「監獄」も見当たりました。
「刑務所」と「監獄」の違い
「刑務所」と「監獄」の違いを、分かりやすく解説します。
まず「刑務所」は現行の刑事施設ですが、「監獄」は法律上廃止されており、日本で実用されているものは存在しません。
建物だけが遺産として残っているにとどまります。
また、「刑務所」では死刑囚は収監しませんが、「監獄」ではそうではありませんでした。
「監獄」では死刑囚も入っていたのです。
「刑務所」でそうしない理由は、現行法では死刑囚は、刑の執行が行われるまでは未決囚だからとされます。
つまり、死刑自体が刑罰であるため、懲役や禁固に使う「刑務所」は相応しくないと考えられました。
そのため、現在は刑事被告や刑の執行を待っている犯罪と同様、死刑囚も拘置所に入ります。
後は生活の過酷さも、大きな違いと言えるかもしれません。
「監獄」が誕生した当時は時代が時代ですから、囚人たちはかなり酷い扱いを受けました。
現在は「刑務所」に名も変わり、囚人の扱いも改善されています。
まとめ
「刑務所」と「監獄」の違いを紹介しました。
明治に誕生した「監獄」が姿を変えたのが、今の「刑務所」となっています。
このため、法律上の「監獄」は今の日本には存在しません。
両者は収監される人間も異なれば、獄中生活も違うなど、小さくない差異があります。