この記事では、「割れ窓理論」と「腐ったミカンの法理」の違いを分かりやすく説明していきます。
「割れ窓理論」とは?
「割れ窓理論」とは、窓ガラスを割れたままにしておくと、その建物は充分に管理されていないと思われ、ごみが捨てられ、やがて地域の環境が悪化し、凶悪な犯罪が多発するようになるという犯罪理論です。
つまり、「窓が割れたまま放置されている=この地域は誰も関心を払っていない」と認識されて、犯罪を起こしやすくなるということです。
この理論によると、軽犯罪を取り締まることで犯罪全般を抑止できることになります。
「割れ窓理論」は、米国の心理学者ジョージ=ケリングが提唱しました。
ニューヨークでは1990年代に落書きや未成年喫煙、万引きなどの軽犯罪を徹底的に取り締まる政策が打ち出され、殺人などの犯罪が減少しました。
この政策は、割れ窓理論を証明したとされる一方で、実際には警察の改革や麻薬の流行が減ったこと、人口の構成が変化したことなど他の要素に原因があったのではないかという批判もあります。
「割れ窓理論」は、破れ窓理論、壊れ窓理論、ブロークン・ウィンドウ理論とも呼ばれます。
「割れ窓理論」の使い方
「割れ窓」は、軽犯罪などのことで、そこから地域の環境が悪化していき、凶悪な犯罪が増えていくことを指して「割れ窓理論」といいます。
ニューヨークで実施された政策では、取り締まりの対象は、一般的な軽犯罪だけでなく、土曜日の登校や放課後の居残り授業なども含まれていました。
「腐ったミカンの法理」とは?
「腐ったミカンの法理」とは、箱の中に一つの腐ったミカンがあると、他のミカンにも腐敗が広まることから、一人の不良少年がクラス全体に悪影響を与えることを表現したものです。
「法理」とは、本来は法律の原理のことですが、「腐ったミカンの法理」は、法律に限られず集団の一般的な傾向について使われます。
この「腐ったミカンの法理」は、ドラマ『3年A組金八先生』の第二シリーズで教師役の武田鉄矢が不良少年の悪影響をたとえて言った言葉がもとになっています。
このドラマは1980年から1981年にかけて放送され、社会に大きな影響を与えました。
元のセリフは、不良少年がクラスに与える影響について言及したものですが、そこから広がって「特定の人の悪い振る舞いが集団全体に悪影響をあたえること」を指して使われます。
「腐ったミカンの法理」は、腐ったミカンの方程式とも呼ばれます。
「腐ったミカンの法理」の使い方
集団内に悪い人がいる状態を放置することで、全体に悪影響が広がっていくことを指して使われます。
「割れ窓理論」と「腐ったミカンの法理」の違い
「割れ窓理論」は、軽犯罪を放置することで地域の犯罪が増加することを指し、「腐ったミカンの法理」は、悪い人を集団内に放置することでその悪影響が集団全体に及ぶことを指します。
「割れ窓理論」における地域は、「腐ったミカンの法理」における集団より広いものであると考えられます。
また、「割れ窓理論」は、学者によって提唱されたものですが、「腐ったミカンの法理」は、ドラマのセリフがもとになったものです。
まとめ
「割れ窓理論」は、地域全体への影響、「腐ったミカンの法理」は、集団全体への影響を表します。