この記事では、「化学肥料」と「堆肥」の違いを分かりやすく説明していきます。
「化学肥料」とは?
「化学肥料」とは、鉱石や大気中の窒素などを使って合成した科学的な肥料のことです。
「肥料」は植物に必要な栄養を含み、生育を促進したり土壌の状態を改善したりする役割を担っています。
大きく分けると、植物や糞尿などの有機質から作られる「有機肥料」と、有機物以外の成分(無機質)を合成した「化学肥料」があります。
肥料は、人が農耕を始めた大古から使われていたことが分かっており、長らくは糞尿や植物の灰などで自給する「有機肥料」が用いられてきました。
しかし19世紀に入って「化学肥料」が開発されると、安価で供給が安定していることから「化学肥料」の使用が主流となっていったのです。
「化学肥料」には窒素、リン酸、カリなどの植物に必要な元素が単体で肥料になっているもの、これらを組み合わせた配合肥料、人工的に成形・配合した化成肥料などがあり、肥料取締法では公定規格を満たしたものが「普通肥料」に区分されます。
メリットは、有機肥料と異なり臭いが気になったり虫が湧いたりする心配がなく、即効性があるところです。
一方、有機肥料に比べ効き目が長続きしない、長期利用によって根や土壌がダメージを受けやすくなる、といったデメリットを持ちます。
「堆肥」とは?
「堆肥」【たいひ】とは、枯れ葉や糞尿などの有機物を醗酵させて作る資材のことです。
土に混ぜて使うと、土がふかふかになり植物が生育しやすい状態になります。
「堆肥」は、落ち葉や枯葉などの植物性の原料、牛や鶏の糞尿といった動物性の原料で作られます。
これらの有機物を堆積しておくと微生物が分解を進め、発酵した有機物が腐熟して土のような状態に変わり「堆肥」が完成するのです。
落ち葉などで作る植物性の「堆肥」は栄養分が少なくて土壌を改善する効果が高く、家畜の糞尿で作る動物性の「堆肥」は栄養豊富で肥料に似た役割も担います。
「堆肥」は販売されていますが、自給することも可能です。
臭いがあると思われがちですが、それは発酵が不十分で腐敗臭が出ているからであり、完全に腐熟した堆肥に臭いはほとんどありません。
「化学肥料」や「有機質肥料」のようなはっきりした肥効はなく、一般的な肥料としての効果が安定していないことから、肥料取締法では「特殊肥料」に区分されています。
「化学肥料」と「堆肥」の違い
「化学肥料」と「堆肥」の違いを、分かりやすく解説します。
ひとことで言うと、有機質と無機質の違い、肥料と資材の違いが挙げられます。
「化学肥料」は、化学的に合成された無機質を含む肥料のことで、生育を促進させる目的で使われます。
「堆肥」は、農業や園芸で土に混ぜ込んで使う資材です。
有機質が豊富で、主に土壌を改善する目的で使われます。
「堆肥」は落ち葉や家畜の糞尿などの有機物を利用して作るため「有機質肥料」と混同されがちですが、一般的な肥料とは役割が異なります。
「化学肥料」と「堆肥」は成分、作り方、用途がはっきり異なっており、農業や園芸では作物の種類や目的によって使い分けがなされています。
まとめ
「化学肥料」と「堆肥」はどちらも土壌に撒くことから同じようなものと思われがちですが、成分や用途ははっきりと異なっています。
農業や園芸をするときに活躍する用品なので、ぜひ違いを覚えておくとよいでしょう。