この記事では、「卒倒」と「失神」の違いを分かりやすく説明していきます。
「卒倒」とは?
「卒倒」は「そっとう」と読みます。
「卒」という漢字は、「おわる」「おえる」や「にわかに」「あわてる」という意味があります。
「倒」には「立っていたものが地にふす」「ひっくりかえる」「立ちゆかないでつぶれる」や「上下・位置が反対になる」「さかさま」といった意味を持っています。
この2字から構成される「卒倒」には「急に意識を失って倒れること」という意味になります。
他にも「卒倒」には「意識がなくなり戻らない」という意味も含まれています。
「失神」とは?
「失神」は「しっしん」と読みます。
「失」の字には、「手からはなす」「なくす」「うしなう」という意味があります。
そして「神」は、「人知を越えてすぐれた、尊い存在」「人間を超越した宗教的な存在」「人間の知恵で測り知れない不思議な力がある」といった意味を持っています。
「失」と「神」で構成される「失神」は「正気をうしなうこと」「喪心(そうしん)」「気絶」という意味になります。
「喪心」とは「身体から魂や気力が抜けたように、ぼんやりとすること」です。
「失神」とは「意識が一時的になくなった状態」のことをいいます。
「卒倒」と「失神」の違い
「卒倒」も「失神」も意識をうしなうことには変わりありません。
違いを分けるポイントは2つあります。
一つは立っている状態から倒れるか、そうではないのかです。
もう一つは意識を失っている状態が一時的なものなのか、そうではないのかです。
「卒倒」は(脳震盪などを原因として)「立っている状態から急に意識を失って倒れること」です。
一方「失神」とは前述したように「意識が一時的になくなった状態」のことです。
「失神」も「卒倒」も意識がなくなるという点は共通しています。
ですが「失神」は倒れるか否かはわかりません。
また、「失神」は一時的に意識をうしなう状態のことですが、「卒倒」の場合は一時的なものとは限りません。
「卒倒」の例文
・『彼女はそのニュースを聞いて卒倒した』
・『彼は暑さで卒倒し気を失ってしまったが、奥さんの辛抱強い看病のおかげで正気を取り戻すことができた』
・『血を見るだけで卒倒してしまうほど繊細』
・『普通の女性だと卒倒するであろうことを、彼女は平気で行う』
「失神」の例文
・『彼女は失神しそうに見えました』
・『彼女は恐怖で失神した』
・『天井に頭をぶつけて 失神した』
・『失神の原因となる 器質的な病変はありませんでした』
まとめ
以上が「卒倒」と「失神」の違いになります。
「卒倒」とは「立っている状態から急に意識を失って倒れること」。
そして「意識がなくなり戻らない」という意味も含んでいる。
「失神」は「一時的に意識がなくなった状態」のことです。
「卒倒」は倒れる、「失神」は倒れるとは限らないというところが違いを分けるポイントです。