俳句や短歌などの世界では、ふだんの生活では使わない言葉が出てくることもあります。
中でも紛らわしいのが季語と季題の違いです。
この記事では、「季語」と「季題」の違いを分かりやすく説明していきます。
言葉の区別を正しく理解して、もっと日本語の豊かさを味わってみてください。
「季語」とは?
季語とはその季節をあらわす、具体的な言葉のこと。
俳句や連歌を読むときに主に使われる用語で、平安時代の後期に生まれたワードと伝えられています。
季語が何のためにあるのか不思議になりますが「どの季節を詠んだ歌なのか」どんな人にもひと目で分かるように生まれたものが季語になります。
春と夏と秋と冬。
四季折々の豊かな情景がかんじられる、日本ならではの和語といえます。
たとえば花火なら夏、わらび餅なら春、今川焼は冬の季語になります。
季節をイメージさせる言葉を俳句に入れ込むことによって「こんな雰囲気のときに、作者は俳句を読んだんだな」と作者の思いや情景を想像することができます。
たかが言葉ひとつなのですが、ひとつの季語があるだけで物語に絵が付いたような華やかさがくわわることもあります。
絵本ならイラストに近いのが季語。
季語があるかないかで、ぐっと歌の風景も変わってきます。
「季題」とは?
季語とよく似た言葉に、季題があります。
ぱっと見てダイレクトに、その季節をあらわす言葉が季題です。
季語にくらべて使わる頻度は少ないものの、主に和歌の世界では頻繁につかわれている言葉です。
季題という言葉がねづくようになったのは、室町時代に入ってからと伝えられています。
季題はひとつの歌にひとつまでが鉄則。
どんなに良い言葉であってもしつこいと嫌になってしまうため、重なって用いることは控えられています。
季題の例としては春や秋、七夕、お正月などがあります。
「季語」と「季題」の違い
どちらも同じ季節をあらわす「季」が付いているので、どんな違いがあるのか迷ってしまうこともあります。
「季語」と「季題」の違いを、分かりやすく解説します。
・歳時記に載っているのが季語
歳時記というのは、俳句をたしなんでいる人の愛読書です。
季節をあらわす季語が散りばめられているので、言葉が思い浮かばないときのアシスタントとして大活躍してくれます。
歳時記の本に載っているのは季語になります。
載っていないものが季題になります。
・ストーリー性がある季語、ダイレクトな季題 季語と季題には明確な線引きがありませんが境をつけるのであれば、よりドラマティックなのが季語。
よりダイレクトなものが季題になります。
創意工夫にあふれたものが季語になり、その季節の言葉をそのまま当てはめたのが季題になります。
・季題は「句会のテーマ」の場合も
また俳句や和歌の会で主催者から、テーマを与えられることがあります。
テーマを与えられた参加者は、その言葉をつかって句をひねっていきます。
このテーマにあたるものが季題です。
俳句や和歌の会に参加したらよく耳にする言葉なので、頭に入れておくと良いでしょう。
まとめ
間違えやすい季語と季題の違いについてお伝えしました。
言葉の深みを知ると、さらに日本語が親しみやすく面白く見えてくることがあります。
違いを知って、さらに豊かなライフスタイルを送ってみてください。