「家書万金に抵る」とは?意味や使い方、例文など分かりやすく解釈

「家書万金に抵る」とは?意味と使い方

日本と中国の関わりは古来より密接なものがあり、それは今でも文化的にも言語的にも強い影響を及ぼしています。

一般的なのは『漢字』であり、これは文字通り『漢の国の文字』という意味です。

また、ことわざなどの表現も中国の故事を由来にしているものがあります。

例えば有名なことわざで『井の中の蛙大海を知らず』というものがありますが、これは中国の荘子の作品から来ているのはあまり知られていません。

そんな中国の故事が由来になっているものの中に『家書万金に抵る』という表現があります。

読み方も少しややこしいものですが、背景を知ると現代に生きる我々にも納得のできるものです。

この記事では、「家書万金に抵る」の意味を分かりやすく説明していきます。

「家書万金に抵る」とは?の意味

この言葉の意味は『離れている家族からの手紙は大金の値打ちに値するぐらいうれしいものだ』という意味を表す表現です。

読み方が少しややこしいですが、『かしょばんきんにあたる』と呼びます。


「家書万金に抵る」の概要

もともとはこれも中国の故事を由来としており、詩人として有名な杜甫(とほ)の作品から来ています。

今でこそメールやSNSなどですぐにコミュニケーションを取れますが、昔は遠く離れた人間と交流は事実上手紙以外は難しい状況でした。

親しい友人や家族と離れ離れで暮らすとお互いの状況を把握することなどできず、手紙をもらうということはとてもうれしく望郷の念にかられるものでした。

似たような故事に孔子が言ったとされる『朋あり遠方より来る。

また楽しからずや』という言葉がありますが、遠方からの手紙や来訪者はとてもうれしいものだということがわかる表現です。

この表現のポイントは『家書万金』と『抵る』にありますが、『家書万金』はご説明した通り、離れて暮らす家族からの手紙は万の金に値するほど貴重であるという意味になります。

もう一つの『抵る』は少し読み方や意味に悩みますが、ふれるという意味を持っている言葉です。

杜甫の作品にはそのまま『家書万金に抵る』という言葉になっていますが、あえて2つに分けるとこの様に見ることができます。


「家書万金に抵る」の言葉の使い方や使われ方

今では離れている家族とのコミュニケーションは一瞬でできます。

しかし、それでもつらい時や寂しい時に送られる何気ないメールやテキスト、そしてプレゼントなどはとてもうれしく貴重なものであることは変わりません。

例えば、大学入学や就職を機に親元を離れて暮らすということはよくありますが、その時に家族から送られる仕送りや故郷でできた野菜やお米などは正に何物にも代えることができない暖かなものではないでしょうか。

この様な時に『家書万金に抵る』という言葉を使うのです。

「家書万金に抵る」を使った例文(使用例)

・『就職活動でつらい時に母から送られた仕送り品は私にとって家書万金に抵るものだった。』
・『家書万金に抵るとは言うが、何気ない家族からのメールは本当にかけがえのないものだと改めて感じた。』
・『単身赴任で朝も夜もない生活をしていた時に掛かってきた息子からの電話は家書万金に抵ると改めて思った。』

まとめ

如何でしたでしょうか。

中国の故事と聞くと少し硬いイメージを持たれるかたもいらっしゃるかもしれませんが、その意味を知ると時代に関係なくとても人間として普遍の気持ちを表したものが多いことに気づくことが多いのではないでしょうか。

この機会に中国の故事や歴史を調べて日本とのかかわりを感じてみるのも面白いかもしれません。

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