時間というものは目に見えないものの身近な概念で、それに関わる言葉も日常的なものから、あまり使われない難しい言葉もあります。
「幾星霜」もその一つですが、意味どころか読み方すらわからない人も少なからずいるでしょう。
この記事では、「幾星霜」の意味を分かりやすく説明していきます。
「幾星霜」とは?意味
「幾星霜」とは長い年月という意味で、その中でもその時を待ち望んでいたり、なにかに耐え忍んでいたりなどの理由で、その時が来たことに感慨を覚えているニュアンスを含む言葉です。
一定の決まった期間を指す言葉ではなく、実際にどれだけの月日が経ったのかすら曖昧になるほど長い月日など、漠然とした長期間という意味で使われます。
また苦労して待っていた時間であり、これから訪れる未来の長い年月ではなく、すでに経過した過去の長い年月という意味合いも持っている言葉です。
「幾星霜」の概要
「幾星霜」の読み方は「いくせいそう」です。
星は元の位置に戻ってくるまでに1年かかり、霜も毎年冬にだけ降るので、星霜は一年や年月を指します。
幾は量や時間などが定まらず、いくらか、どれくらいかという意味と、数が多いことという意味を持つ漢字です。
そのため「幾星霜」は、何度も星の周期がめぐり、霜が降る季節が何度も過ぎ去った、何年もの月日が経ったという意味になります。
「幾星霜」の言葉の使い方や使われ方
「幾星霜」は普段の会話で使われるような、日常的な言葉ではありません。
小説のような物語、歌詞などに使われる、畏まった言葉です。
また「幾星霜」は、すでに過ぎ去った年月に対して使い、それにしてもただ適当に過ごした時間に対しては使われません。
目的達成のために努力してきた年月、現在に至るまでに経験した苦難の日々など、待ち望んでいた時や現在になるまでに時間だけでなく苦労が掛かったことも表現する使い方をする言葉です。
辛い日々を思い出し、それが結実した現在を喜ぶような表現が「幾星霜」と言えるでしょう。
「幾星霜」の類語や言いかえ
「幾星霜」に最も近い類語は「幾年月」で、星霜が年月を指す言葉なので、使われる文字だけが違う、ニュアンスも含めてほとんど同じ類語になります。
「幾年月」の方が言いまわしとして使われることは多いです。
また「幾星霜」は年数が定かではない表現ですが、具体的な年数がハッキリしている場合は「苦節十年」などその年数の頭に苦節とつける形で表現することが多いでしょう。
他にも「長きにわたる苦難」、「長年の努力の末」など、長期間を示す言葉と苦労を意味する言葉を合わせた言いまわしも、「幾星霜」の言い換えになります。
まとめ
年月は一般的でありふれた表現ですが、時間の経過を星や霜と言った自然で表現することで、詩的な印象を与えられます。
日常的に見かける言葉ではありませんが、だからこそ苦労してまで待った日々を、特別で詩的な表現で伝えたいなら、「幾星霜」という言葉はピッタリです。