「映像」と「写真」の違いを聞かれたとき、「動くかどうか」「音があるかどうか」と説明する人も多いかと思いますが、実はこの区別の仕方は正確ではありません。
この記事では、「映像」と「写真」の違いを分かりやすく説明していきます。
「映像」とは?
「映像」には、三つの意味があります。
一つ目は、「光線の屈折によって作られた像」、二つ目は、「映画やテレビの画面に映し出された画像」、三つ目は、「心の中に描き出されたイメージ」です。
以上の意味から分かる通り、「映像」であるかどうかは、動きや音声の有無で判断されるわけではありません。
ちなみに「映」は、反射したり照らされたりして、濃淡や色調が浮き出る、形や姿を映し出すという意味を持つ漢字です。
「映像」を意味する英語は、“image”、“video”、“picture”などたくさんあります。
「映像」の使い方
多くの場合、「映像」は動きのあるものに使われますが、テレビ画面や映画のスクリーンに映し出されたものであれば、動きがなくても「映像」であるといえます。
映像の中でも動きがあるものを見た際に乗り物酔いや船酔いに似た状態になることを「映像酔い」といいます。
また、心に描いたイメージも「映像」です。
「写真」とは?
「写真」とは、光・放射線・粒子線などのエネルギーを用い、視覚的に識別できる画像として記録すること、また、それによって記録したものを指します。
「映像」に比べると、難しい意味のようにも見えますが、簡単に言うと、「写真」はカメラなどの機械によって視覚的情報の一瞬を写実的に写し取ったものということです。
「写真」の使い方
視覚的情報を写し取ることを指すときには、「写真を撮る」「写真を撮影する」という形で使われます。
また、写真を撮影することを仕事とする人のことを「写真家」といいます。
「映像」と「写真」の違い
上にも書いた通り、本来の意味からすると「映像」は、動いているかを問いません。
「写真」については、静止画であることがほとんどですが、最近では、ライブフォトのような「動く写真」もあります。
このように区別があいまいな「写真」と「映像」を分ける観点としては、写実性の有無があります。
「写真」はありのままの視覚的情報を写実的に記録したものですが、「映像」には、実際にあったことを記録した物だけでなく、アニメやCG映像なども含まれます。
「映像」の例文
・『テレビの映像に目を奪われる。』
・『大学で映像論の授業を受けることにした。』
・『映画の途中で映像酔いしてしまった。』
・『映像作品の作り方を勉強する。』
「写真」の例文
・『部屋を片付けていたら古い写真を見つけた。』
・『景色があまりにきれいだったので写真を撮った。』
・『彼の本職は写真家です。』
・『写真館で成人式の写真を撮った。』
まとめ
かつて「写真」は動かないのが当たり前でしたが、技術の進歩によって「写真」が持つ意味や「映像」との区別も変わっていくと考えられます。
とりあえずは、「写真」はありのままの一瞬を切り取ったものだと覚えておきましょう。