この記事では、「春眠暁を覚えず」という言葉の意味と、由来を分かりやすく説明していきます。
「春眠暁を覚えず」とは?
「しゅんみんあかつきをおぼえず」と読みます。
春の夜に眠ると、夜が明けることにも気づかないほど気持ちがよく、なかなか目が覚めないという意味です。
中国の詩人である「孟浩然」【もうこうねん】の詩からきている言葉です。
春の眠りの気持ちよさをいう言葉になります。
学校の国語の授業で習うことの多い言葉です。
「春眠暁を覚えず」の概要
7~8世紀の中国に、孟浩然という詩人がいました。
若い頃から各地を放浪し、自然を題材にした詩が高く評価されていました。
彼が作った五言絶句「春暁」【しゅんぎょう】という詩の冒頭に、「春眠不覚暁」があり、その漢詩が、故事成語になりました。
「春眠不覚暁」を書き下し文にすると、「春眠暁を覚えず」になります。
「春眠」とは、春の眠りのことで、「暁」は、夜明けを、「覚えず」は知らず識らずのうちにという意味です。
五言絶句とは、五言の句が、四句集まって出来る近体詩のことなので、あと三句あります。
鳥の鳴き声や、風の音、花などの描写が素晴らしく、日本では、中学生のときに、国語の教科書で習うことも多い詩です。
「春眠暁を覚えず」の言葉の使い方や使われ方
春の朝に、気持ちが良くて寝過ごしてしまったときなどに使用します。
「春眠暁を覚えずとはよく言ったもので、危うく寝過ごすところだったよ」のように使います。
「暁」が入っているので、昼寝の時には使用しません。
また、春以外に使うことも適切ではありません。
自分に対しても、人に対しても使う言葉です。
例えば、「春は、春眠暁を覚えずで、遅刻しそうになることがよくある」や、「うちの息子はいつも朝寝坊なのだけれど、特に春は起こしても起きない。
春眠暁を覚えずだなあ」などと、使います。
「春眠暁を覚えず」の類語や言いかえ
同じように春の朝について触れている言葉で、有名なのが、清少納言の随筆「枕草子」【まくらのそうし】の冒頭の「春はあけぼの」です。
春は夜が明け始めるくらいの頃が良いと、春の朝の素晴らしさについて語っています。
類語には、「朝寝」があります。
春の「季語」の一つです。
季語とは、連歌、俳諧、俳句で用いられる特定の季節を表す言葉のことです。
寝心地がいい春に、うつらうつらといつまでも暖かい寝床にくるまっているさまを表します。
季語として使わない時には、単に朝遅くまで寝ていることを指します。
言い換える言葉では、「寝過ごす」、「昼まで寝る」、「泥のように眠る」などがあります。
まとめ
春の朝は、冬に比べて陽が上がる時間が早くなります。
また、過ごしやすい気温なので、快適な睡眠をとることが出来ます。
孟浩然の春暁のように、夜が明けることにも気づかないで眠りを楽しむのも良し、清少納言のように、夜明けの美しさを堪能するのも、また、良しです。