時間軸というものを考えた時に様々な表現があります。
漠然とくくったり、特定の時間を指示したりなどがありますが、その代表例が『昨今』と『近年』という単語ではないでしょうか。
どちらもニュースや新聞、日常会話で使われていますが、実はこの二つにははっきりと違いがあるのはあまり知られてはいません。
しっかりと違いについて説明ができる方は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では「昨今」と「近年」の違いを分かりやすく説明していきます。
「昨今」とは
一言で説明をすると『漠然とした現在に近い過去から現在まで』を表現するときに使う言葉です。
これはどういうことでしょうか。
まず同義語に『今日この頃』や『近頃』という言葉があります。
これがヒントになります。
最初の説明でも『漠然』と書いている様に、決まった時間のことを指し示してはいないのです。
それは数日前、数か月前だったり、人によっては数年前までを『昨今』として漠然と纏めて現在までの過去を表す時に使います。
非常に漠然としているので、この様な会話の行き違いは見たり聞いたりしたことはありませんでしょうか。
『近頃(昨今)の子はルーズソックスは履かないのかい?』
『近頃っていつの話よ。それだいぶ前だよ。』
これは漠然とした概念でとらえる為『昨今』の定義がそれぞれ違うから発生しているのです。
とても便利な言葉で、数か月前でも数年前でもどちらでも使えます。
「近年」とは
一方『近年』は『ここ数年間のこと』を表す言葉です。
これの捉え方は非常に分かりやすく『年』という言葉が付いているので『過去数年間のこと』を指し示しているのがすっきりと頭にはいりませんでしょうか。
『年』が付いているので、最低でも1年前のことに使われるべき単語です。
通常は2~3年ぐらいを表しますが、これも個人の認識によって違ってくるので、あくまでも『数年前』という『年』に注意をして使用してください。
「昨今」と「近年」の違い
この二つは『漠然とした現在までの数か月から数年の過去の事』か『数年前の過去』かではっきりと区別がつきます。
『昨今』が数か月から数年前までとフレキシブルに使えるのに対して、『近年』は字が示す通り、年単位でしか使えないというのもポイントです。
かなり混同して使われている単語がこの2つですが、実ははっきりと違いがあるのがお分かりいただけたのではないでしょうか。
「昨今」の例文
・『昨今では土地開発が進み、ここの風景もすっかり変わり、田畑も随分減ってしまいました。』
・『昨今の音楽業界はどれも同じ様な歌ばかりで個性がない。』
・『有識者達が集まり、昨今の国際情勢と日本の政治の在り方について議論を行った。』
「近年」の例文
・『田畑君は近年まれに見る超大型ルーキーだから期待しているよ。』
・『昨夜は近年にはない程の豪雪で街の交通網が一気に停止してしまった。』
・『環境意識の高まりからエコ商品の需要が近年高まってきている。』