この記事では、「木賃宿」の意味を分かりやすく説明していきます。
「木賃宿」とは?意味
「木賃宿」には2つの意味があります。
ひとつは、江戸時代の宿屋のことで、宿泊者に木賃を支払ってもらい、自炊をしてもらって宿泊させるところです。
木賃とは、旅人が支払う煮炊きなどのための薪代のことです。
江戸時代にはガスや電気で炊事はしておらず、薪を使用して煮炊きをしていました。
もう一つの意味は粗末な安宿です。
明治時代以降には宿場制度がなくなりました。
江戸時代に「木賃宿」といわれていたところは、宿屋の中でも最下層に位置しており、粗末な作りです。
そういった宿を明治時代以降は「木賃宿」と呼ぶようになりました。
「木賃宿」の概要
江戸時代、身分の高い人でなければ徒歩で旅をすることが一般的でした。
旅の途中で寝泊りする場所が必要で、客を泊める場所には旅籠や本陣などの種類がありました。
その中の一つが「木賃宿」です。
多くの場合、街道筋に建っています。
食事はついておらず、米を持参して自炊をします。
また、薪代を支払って料理を作ってもらうこともできます。
現代は旅館に泊まるというと食事や温泉を楽しみにする人がいますが、「木賃宿」はそういったものではなく、眠るための場所です。
食事を食べたかったら持参したり、料金を支払って作ってもらう必要があり、温泉などはついていません。
江戸時代にはお伊勢参りが流行りました。
江戸から伊勢にまで徒歩で向かうには何十日とかかります。
その間、高級な宿に泊まっていては費用がかさんでしまいます。
一般の庶民にそのような金銭はありません。
少しでも出費を抑えたいときに「木賃宿」は助かる存在です。
宿のつくりは粗末なものだったようです。
現在の旅館のようなふかふかな布団はなく、一家族ずつに部屋が与えられているわけでもなく、大部屋を利用します。
庶民の旅行が盛んになると次第に旅籠屋の数が増えるようになります。
旅籠屋の料金は「木賃宿」の5倍ほどにもなったといわれています。
そういったことから「木賃宿」は安宿の代名詞にもなりました。
「木賃宿」の言葉の使い方や使われ方
江戸時代の木賃を支払って利用する宿の意味では、江戸時代の事柄を話すときに使用されます。
料金が安い粗末な宿の意味もありますが、その場合は安宿ということが一般的です。
「木賃宿」の類語や言いかえ
「安宿」が似た意味を持つ言葉です。
宿泊料金が安い宿を意味します。
安いとはどれくらいなのか定義はありませんが、相場よりも低いものを安いといいます。
「簡易宿所」は「木賃宿」に似たものです。
宿泊する場所を複数人で共用する構造や設備を主とする宿泊する施設をいいます。
公共浴場が周囲にない限りは入浴設備を設置しており、トイレもあり、採光や換気を考えられています。
まとめ
江戸時代には木賃を支払って泊めさせる宿があり、それを指す言葉です。
また、安宿の意味もあります。