日本では、平成21年に裁判員制度が始まり、すべての国民が裁判に参加する可能性がでてきました。
しかし多くの人にとって、裁判は身近な世界とはいえません。
難しい法律や専門用語が飛び交う場所をイメージする人は多いでしょう。
まずは基本的なこととして「裁判員」と「裁判官」の役割や立場の違いからおさらいしていきましょう。
この記事では、「裁判員」と「裁判官」の違いを分かりやすく説明していきます。
「裁判員」とは?
「さいばんいん」と読みます。
重大な刑事事件につき、職業裁判官とともに、合議体を構成し、被告人が有罪か無罪かを判断する、国民から選ばれた一般市民のことです。
有罪の場合は、どのような刑を宣告するかも決めます。
「裁判員」の使い方
「裁判員」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『裁判所から呼出状が届き、父は「裁判員」に選ばれたことを知りました』
・『「裁判員」たちは、全員一致で被告人を有罪としました』
「裁判官」とは?
「さいばんかん」と読みます。
裁判所の構成員であり、裁判事務を担当する国家公務員のことです。
最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、判事、判事補、簡易裁判所判事の六種があります。
政治的な取引などは一切せず、憲法と法律にのみ拘束され、良心に従い独立してその職権をまっとうするとされています。
「裁判官」の使い方
「裁判官」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『私は弁護士ですが、本当は「裁判官」を目指していました』
・『伊藤「裁判官」は判決理由で、被告が同種の恐喝行為を繰り返していたと指摘しました』
「裁判員」と「裁判官」の違い
それでは「裁判員」と「裁判官」の違いを、改めて整理してみましょう。
いずれも「ある刑事事件で被告人が有罪か無罪か、また有罪である場合はどんな刑を科すのか」を決める構成員です。
原則として1つの事件を「裁判員」は6名、「裁判官」は3名で担当します。
「裁判員」と「裁判官」は対等です。
しかし、期待されている役割が異なります。
「裁判員」は無作為に選ばれた市民で、法律の専門家ではありません。
「裁判員」に期待されているのは一般市民としての常識や感覚です。
判決内容が多くの人にとって違和感のない社会的に相当性があることが望ましいため、「裁判員」制度は始まりました。
一方、「裁判官」は法律の専門家です。
法律や法律の解釈、過去の判例のプロフェッショナルです。
よって「裁判員」は有罪・無罪の判断と刑罰の選択については、「裁判官」と対等な権限を持っていますが、訴訟手続に関する問題や法律の解釈については、「裁判官」のみが判断することになっています。
まとめ
この記事では「裁判員」と「裁判官」の違いをみてきました。
どちらも「被告人が有罪か無罪か」を決める裁判を構成する人のことをいいます。
しかし求められている役割が異なります。
違いを正しく理解すれば、私たちが「裁判員制度」を始めた意図への理解が、一層深まることでしょう。