時代劇の悪役がよく使う「片腹痛い」とはどんな意味の言葉なのでしょうか。
今回は、「片腹痛い」の意味と類似表現について解説します。
「片腹痛い」とは?意味
「片腹痛い」とは、「こっけいであり苦々しい様子」を意味する言葉です。
「片腹痛い」の概要
もともとは「傍ら痛し」という言葉で「そばで見てみて居心地が悪い」という意味の言葉でしたが、いつしか「傍ら」が「片腹」という字に変わり「片腹痛い」になったとされています。
定かではありませんが、笑いすぎると腹がよじれて痛くなることになぞらえて「笑って片方の腹が痛くなるほどこっけいである様子」という意味が広まったとする説もあります。
古めかしい言い回しであり現在では日常的に使われることはほとんどありません。
歴史物など時代がかった言い回しが求められるドラマや小説などでは今でも頻繁に使用されており、血気にはやる若者の主張や事情を考慮しない正論など分をわきまえない言説を小馬鹿にするような場面で用いられています。
対象の行動や言葉が本当に笑えるものである必要はなく「真面目に取り合うのもバカバカしい」というような軽んじた扱いをしていることを意味しています。
言葉そのものに相手の言動を下に見ているニュアンスが含まれていることから言われた相手は自分を軽んじ小馬鹿にされたと腹を立ててしまうような罵倒語としての性質も持ち合わせています。
とるに足らないものであるとバッサリ切り捨ててしまう言葉なので軽々しく使われることはありません。
相手と真っ向から対立する覚悟がある場合のみに使われる人間関係的に非常に強い意味合いを伴う表現です。
「片腹痛い」の言葉の使い方や使われ方
・『その程度の根拠で主張してくるとは片腹痛い』
・『私に逆らうとは片腹痛い』
・『現場の苦労も知らずに数字だけで経営が再建できると思いこむとは片腹痛い』
・『あの程度の戦力で優勝を狙うとは片腹痛い』
「片腹痛い」の類語や言いかえ
・笑止千万
「笑いが止まらないほどバカバカしい」という意味の言葉です。
転じて「思わず笑いが止まらなくなるほどバカバカしくとるに足りない」という意味でも使われており、こちらは「片腹痛い」と非常に近い意味合いです。
「片腹痛い」よりも強い意味で使われる言葉ですが大きな差はなく言い換えても意味にほとんど違いはありません。
・小癪(こしゃく)
「実力や立場に対して過ぎたふるまいをするさま」を意味する言葉です。
出すぎた真似をする人物に対して使われる言葉で、呆れながらも怒りを覚えるところは「片腹痛い」の心の動きとよく似ています。
「片腹痛い」が腹を立てつつもある程度余裕を見せているのに対し、こちらはもっと怒りが強いときに使われます。
・愚にもつかない
「まじめに取り扱う価値がない」という意味の言葉です。
「片腹痛い」とは似たような意味合いの言葉ですが「片腹痛い」が腹立ちが含まれているのに対し、こちらはもっと冷静物事を判断している様子を表します。
まとめ
普段使うことはめったにない「片腹痛い」ですが、映画や小説など作品中には頻出する表現です。
難しい意味ではないのできちんと覚えておきましょう。