あることについて詳しい人のことを指して「有識者」ということがありますが、「有識者」は「知識人」とどのように違うのでしょうか。
この記事では、「知識人」と「有識者」の違いを分かりやすく説明していきます。
「知識人」とは?
「知識人」とは、高い知識や教養を持つ人のことです。
「知識」は、知ることや認識・理解、考える働き、知恵という意味です。
「知識」は、「智識」と書かれることもあります。
「知識人」は、インテリとも呼ばれますが、これはインテリゲンチアの略です。
インテリゲンチアは、もともと19世紀の帝政ロシアにおいて自由主義的な知識人の一群を指す語として使われていました。
現在では、知識・教養を持ち、知的労働に携わる社会層や知識階層という意味で用いられています。
知的労働とは、知識により新たな付加価値を生み出す労働で、具体的にはコンサルタントやITエンジニアがあげられます。
つまり、インテリゲンチア(知識人)は、厳密には知的労働に携わる人々を指しますが、実際には「高い教養を持つ人」というような意味で使われています。
「知識人」を英語にすると“intellectual”になります。
「有識者」とは?
「有識者」とは、広く物事を知っている人や学問・識見のある人のことです。
「有識」には、学問があり見識が高いという意味があります。
「有識家」という言葉もありますが、これは「有識者」とほぼ同義です。
一方、「識者」は、物事の正しい判断力を持っている人のことなので少し意味が違います。
ニュースなどで「有識者会議」という単語を耳にしたことがあるという方も多いと思います。
「有識者会議」は、各界を代表する学識経験者や実務経験者などで構成されている会議のことです。
主として国・地方自治体などの諮問機関として設置されます。
経済界・学会・関連団体・文化人・マスコミなど多様な分野を代表する識者が選ばれ、幅広い観点から議題について検討します。
「有識者」を表す英語は“well-informed person”です。
「知識人」と「有識者」の違い
「知識人」と「有識者」は、基本的に同じものを指します。
どちらも高度な知識を持つ人のことです。
ただし、一般的に「有識者」という場合には、「有識者会議に出席するような人」、つまり、特定の分野の専門家というニュアンスを含みます。
そのため、「知識人」は、幅広い教養を持つ人、「有識者」は、特定の分野について高度な知識を持つ人、専門家という意味で使い分けをされることが多いようです。
これらの使い分けは、厳密な言葉の意味の違いに基づいたものではないので、専門家を指して「知識人」というのももちろん間違いではありません。
まとめ
「知識人」は、幅広い教養を持つ人、「有識者」は、ある分野について高い見識を持つ人という意味で使われます。
基本的には、ほぼ同じ意味なので、状況に応じてしっくりくる方を使うようにしましょう。