時代劇を見たり、世界の有名建築を訪ねたりすると、人々の戦いの歴史に触れることがあります。
城に設けられた「砦」や、世界中にみられる「要塞」はその代表といえます。
しかしこの違いを正しく理解しているでしょうか。
この記事では、「砦」と「要塞」の違いを分かりやすく説明していきます。
「砦」とは?
「とりで」と読みます。
むかし、敵の侵入を防いだり、戦ったりするための城の作り方として、外の要所に小規模な「要塞」を設けました。
これを「砦」と言います。
木柵をめぐらし、内に兵営を置き、小さい城のような役割を果たしました。
出城(でじろ)や、柵塁(さくるい)とも言います。
「砦」の使い方
「砦」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『銀行や郵便局のスタッフは、オレオレ詐欺から高齢者を守る最後の「砦」になっています』
・『真田丸は大阪城の堀の外側に築かれた「砦」で、あえて敵の大軍を引き寄せる役割を担ったと考えられています』
・『彼はチームのエースで、私たちが勝利するための最後の「砦」です』
・『隠し「砦」の三悪人は、黒沢明の有名な映画で、「砦」から出て敵陣を突破し、同盟軍の陣内へ逃亡する話です』
「要塞」とは?
「ようさい」と読みます。
外敵を防御、もしくは攻撃するために、国境や海岸などに築造する堅固な建造物のことです。
城に設けられる「砦」のことも含みます。
戦略上の重要地点に設けられ、主に防衛を目的とした軍事施設です。
監視所や砲台などを備えます。
「要塞」の使い方
「要塞」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『「要塞」地帯とは、国防のために建設した「要塞」の周辺区域のことで、戦前は法律により立入り・撮影・測量などが禁止されていました』
・『「要塞」都市とは、堀や城壁に囲まれた軍事拠点を中心に発達した都市で、一三世紀から一四世紀にかけて主にフランスで建設されました』
・『クエンカはスペインになる「要塞」都市で、世界遺産に登録されています』
・『ハリウッドスターの豪邸を外からみたことがあるが、高い壁に囲まれ、まるで「要塞」でした』
「砦」と「要塞」の違い
それでは「砦」と「要塞」の違いや使い分けを、改めて整理してみましょう。
「砦」は本城とは別に設けられた「小さな出城」で、本隊は別にあると考えられます。
一方、「要塞」は、「砦」より堅固な建造物である場合が多く、出先機関ではなく、本隊もそこにいることがあります。
「砦」は小さな出先機関、「要塞」は「メインの指揮者たちがいる場合もある」と考え、区別しましょう。
まとめ
この記事では「砦」と「要塞」の違いを説明してきました。
「砦」も「要塞」も防御や、ときには攻撃のために設けられた設備ですが、規模の大きさや、組織の中での立場に違いがあります。
戦争が身近でなくなった私たちの生活の中でも、比喩として残っている言葉です。
ニュアンスや意味の違いを見落とさず、正しく使い分けるようにしましょう。