自分で使う機会は少ないが目にする機会は多い言葉のひとつに「穏便に済ませる」という表現があります。
小説などのフィクションのほかビジネスや話し合いの場でも普通に使われる言葉ですが具体的にはどのような意味で使われているのでしょうか。
今回は、「穏便に済ませる」の意味や使われ方を用例を挙げて解説します。
「穏便に済ませる」とは?意味
「穏便に済ませる」とは「物事をことさら荒立てることなく穏やかにおさめる」という意味の言葉です。
「穏便に済ませる」の概要
「穏便に済ませる」の「穏便」には「角が立たない優しいやり方」という意味があります。
物事を「穏便」二回ケウするのが「穏便に済ませる」の意味合いです。
なにか事件やトラブルが発生したとき、手荒な方法や話を大きくする方法を選ばずなるべく小規模に抑えて終わらせるようなやり方で解決を図ることを指して「穏便に済ませる」と表現します。
「穏便に済ませる」という表現は騒動の当事者のうち有利な立場にある者が自分や相手もしくは関係者など対して配慮するために気を使って実行されます。
「本来であればもっと大規模になっていたであろうトラブルを格別な配慮を持って話を広げることなく小規模に抑えて解決する」のが「穏便に済ませる」の意味するものです。
もともと小規模なトラブルや結果としてもめること無くスムーズにおさまった場合は「穏便に済ませる」という表現はふさわしくありません。
文脈や使われ方によって肯定的にも否定的にも使われる表現です。
他社に対する気遣いとして「穏便に済ませる」のが一般的ですが「自らの不名誉や余計な騒動が広がることを嫌って本来やるべき手続きを行わず幕引きをはかる」ことを表す使い方も見られます。
比喩的な表現として「脅迫などの手段で無理やり相手を黙らせる」という使い方もあります。
暴力や逮捕など直接的な手段に出ていないことをもって「穏便」と表現していますが、実際には直接的な手段以上に強引なやり方で解決していることを皮肉るような比喩表現です。
「穏便に済ませる」の言葉の使い方や使われ方
・身内の話なので穏便に済ませる。
・本番を控えた大事な時期だったので双方合意の上で穏便に済ませることとなった。
・大きな被害が出ている以上、穏便に済ませる訳にはいかない。
・穏便に済ませるつもりならまずは謝罪するのが筋だろう。
「穏便に済ませる」の類語や言いかえ
・内々に済ませる
「ここだけの話として外部に漏らすことなく処理する」という意味の言葉です。
「本来であればもっと大規模になるであろうトラブルを関係者だけでおさめて解決する」というとてよく似た意味合いの表現です。
処分の軽重より「内部だけで終わらせる」という点を強調するときに使われる表現です。
・目をつむる
「事実を見なかったこととし、ないものとして扱う」という意味の言葉です。
トラブルに対して使われるときはトラブルそのものがなかったという扱いとなります。
事を荒立てることなく終わらせるという意味に類似点が見られますが「穏便に済ませる」が軽くても一応の裁定や結果が出るのに対しこちらはトラブルそのものがないという扱いなので具体的な裁定や結果は無いという違いがあります。
まとめ
大人同士の付き合いでは白黒はっきり着けることなく解決を目指すケースが多く、「穏便に済ませる」結果になることはよくあります。
前後の流れによってニュアンスが異なるので言葉の意味だけでなく使われ方にも注意しましょう。