この記事では、「衰退」と「衰亡」の違いを分かりやすく説明していきます。
「衰退」とは?
「衰退(すいたい)」とは、「衰えて勢力・影響力などが弱くなること」を意味しています。
「衰退」と反対の意味を持つ対義語として、「発展(はってん)・繁栄(はんえい)」があります。
「衰退」は、「今まで栄えていた国家・会社・産業や力を持っていた人物などが、その力を落として弱くなること」を指し示す言葉なのです。
「衰退」の使い方
「衰退」の言葉は、「繁栄していた国家・地域・共同体・産業の勢力が衰微(すいび)して弱まる」の意味で使えます。
「衰退」の使い方として「影響力・支配力を持っていた集団や個人のその力が弱まって落ちぶれる」の意味合いでも使用できますが、「衰えるだけで滅びる段階までには至っていない」のニュアンスがあります。
「衰亡」とは?
「衰亡(すいぼう)」とは、「少しずつ影響力や勢いが衰えていって滅びること」を意味しています。
「衰亡」と反対の意味を持つ対義語として、「興隆(こうりゅう)・隆起(りゅうき)」が挙げられます。
「衰亡」というのは、「権力・影響力などの衰退+存在そのものの消滅・滅び」を示唆している表現なのです。
「衰亡」には、「衰えるだけではなくて滅びてなくなる」のニュアンスがあります。
「衰亡」の使い方
「衰亡」という言葉は、「国家・集団・会社などの勢力が段階的に落ちていって、滅びてなくなってしまう」の意味合いで使うことができます。
「衰亡」の使い方は「古代ギリシアのスパルタの衰亡・ローマ帝国の衰亡」のように、「歴史上に存在していて、かつて勢いがあった国・勢力が少しずつ衰えて滅亡する」の意味で使う使い方になります。
「衰退」と「衰亡」の違い
「衰退」は「勢いを持っていた国家・集団(会社)・個人が衰えて影響力を落とす段階」までを示していますが、「衰亡」は「以前は影響力を保持していた国家・企業などが衰えて滅亡する段階」までを示している基本的な違いがあります。
また「衰退」は「個人」に対しても使用されることがありますが、「衰亡」は原則として個人ではなく「国・企業などの共同体的な集団」に対して使用されるといった用法の違いも指摘できます。
「衰退」の例文
・『19世紀にあれほどの栄耀栄華を誇っていた大英帝国が衰退した原因について歴史学で研究しています。』
・『燃料としてガソリン(石油)が使われるようになったため、炭鉱を主産業とする地方の街は急速に衰退しました。』
「衰亡」の例文
・『古代ローマ帝国の衰亡をテーマにした本を読んでいると、現代の日本が抱えている社会問題とも共通点があります。』
・『歴史を後から振り返ってみれば、衰亡した国・文明は不可避な時代の流れに呑み込まれたともいえます。』
まとめ
「衰退」と「衰亡」の違いを詳しく説明しましたが、いかがでしたか? 「衰退」は「勢いが衰えてそれまであったプレゼンス(影響力)が後退すること」を意味していますが、「衰亡」のように「段階的に衰えて滅びる」までの意味合いはない違いがあります。
「衰退」と「衰亡」の違いを調べたい時は、この記事を読んでみてください。