この記事では、「記号」と「マーク」の違いを分かりやすく説明していきます。
「記号」とは?
「記号」【きごう】とは一定の約束に基づいて、ある事象の内容を代替物でわかりやすく表したものです。
漢字の「記」はしるしを意味し、「号」は合図という意味を持ちます。
この「記」と「号」が組み合わされることにより「ある約束に基づいて情報を知らせるしるし」という意味を表しているのです。
「記号」は、主にひと目で見て認識できる図形、文字、シンボルマークなどで表されます。
原則として「記号」は、言語による説明が添えられていなくても見た人が意味を正しく解釈できるものです。
ただし、広義には言語自体も「記号」に含まれます。
「記号」はあらゆるコミュニケーション、社会規範、技術、芸術などに欠かせない情報伝達法で、私たちの身のまわりにはさまざまな「記号」があふれています。
代表的なものには、句読点やカッコなどの「約物」や数学・科学に用いられる「学術記号」、言語の発声法を表す「発音記号」などがあります。
「マーク」とは?
「マーク」は、ある事象が持つ意味や概念を表すためのデザインやシンボルのことです。
一般には、文字で情報を表記するかわり、誰が見ても意味や概念が理解できるよう簡単に図案化したものを指します。
英語では“mark”と表記し、品質や組織を表す商標、署名の代わりに使うサイン、しるしをつける行為を意味します。
「マーク」は、その事象が持つ情報を人に伝える目的があるため、原則として誰が見ても内容が理解できる図案でなければ意味がありません。
また、意味や概念を表すことができなければ、それがただの装飾となってしまいます。
ただし「マーク」を示す側とそれを見る者の間に、共通するルールがあるとは限らないため「マーク」を示す側の言わんとすることが正確に伝わらないケースも珍しくはありません。
たとえば、トンボをキャラクター化した「商標」が消費者にはハエに見える、といったケースがあります。
このように、社章や家紋など持ち主が誰なのかを証明する目的の「マーク」ならば、見る人によってデザインから受けるイメージが違っていても大きな問題はないのです。
一方、言語の記述に用いる「約物」や楽譜に使う「音楽記号」などは、「マーク」の示す意味が見る側に正しく認識される必要があります。
「マーク」が別の意味として受け止められると、表現している内容も正しく伝わらなくなるためです。
「記号」と「マーク」の違い
「記号」と「マーク」の違いを、分かりやすく解説します。
「記号」と「マーク」はどちらも、ある事象が持つ意味や概念を簡単なデザインに置き換えて記したものです。
「記号」は、一定の約束に従って示されるもので、示す側とそれを見る側がその約束に沿って「記号」の意味を同じ内容で解釈しなければなりません。
一方「マーク」は必ずしも一定の約束に従って示されるとは限らず、抽象的なデザインだと見る人によって異なるイメージを抱く可能性があります。
たとえば「正」を記号で「+」と示すなら、誰もが記号の「+」は「正」というルールを認識していなければ、計算や情報処理は正しく実践できません。
「+」というマークがAを象徴する場合、人によって「+」が十字架、漢数字の10に見えます。
しかし、Aとして認識されていればデザインがどうイメージされても「マーク」としての役割は果たすことになるのです。
まとめ
「記号」は「マーク」と同じ役割を持つものもありますが、狭義には両者で定義は異なります。
正しい意味を理解し、適切に使い分けをしていきましょう。