この記事では、「車輌」と「車両」の違いを分かりやすく説明していきます。
「車輌」とは?
「車輌」は「車輛」の略字であり、読みは「しゃりょう」で、その意味は車輪を有する乗り物全般を指す言葉です。
多くの辞書には「車輌」で調べても記載されている事は余り無く、「車輛」で記載されているのが一般的です。
「車両」とは?
「車両」は現在一般的に使われている漢字であり、その意味は「車輌=車輛」と同じく、車輪を有する乗り物全般を指す言葉です。
「車輌」と「車両」の違い
上記の1,2項で記載した様に「車輌」は「車輛」の略字であり、読みも「しゃりょう」で、意味も現在一般的に使われている「車両」と全く同じで、車輪を有する乗り物を指す言葉です。
ではなぜ、「車輌」「車輛」「車両」という3つの漢字表記が存在するのでしょうか?この点について説明したいと思います。
先にも記載した様に、「車輌」は「車輛」の略語であり、戦前には「車輛」が車輪を有する乗り物を表現する意味の漢字でした。
もちろん、昔から「両」という漢字はあったのですが、「車両」ではなく、「車輛」と表記していたのです。
これは「両」という漢字は『両方』や『千両箱』の様な意味で使われていたため、車輪を有する乗り物に対しては、それと区別する意味で「車輛」と言う字を当て、戦前までは「車輛」と表記していたのです。
しかし、戦後の漢字を整理しようと言う流れの中で、常用漢字には「輛」は入りませんでした。
従って、新聞やテレビでの表記や各種の公文書では常用漢字を使う必要がある事から「車両」と言う現在の表記が一般的に使われるようになったのです。
現在「車輛」という文字を見る事はほとんど無くなりましたし、その略字である「車輌」は企業名や鉄道会社における専門用語として残っている程度となっています。
こうした漢字表記の違いについては、知識として持っておいても良いでしょうが、一般の人が、敢えて「車輛」や「車輌」の漢字表記を使う必要性は全くないと言えます。
こうして「車両」への表記の変化を見ていると、言葉や漢字表記と言うのは時代と共に変化している事に改めて気付かされます。
まとめ
「車輌」は「車輛」の略字であり、読みも「しゃりょう」で、意味も現在一般的に使われている「車両」と全く同じで、車輪を有する乗り物を指す言葉です。
戦前までは車輪を有する乗り物は「車輛」と表記していましたが、その略語として「車輌」の表記が使われていました。
しかし戦後の漢字を整理する流れの中で、「輌」や「輛」は常用漢字から外れたのです。
そこで常用漢字である「両」の字を当てて「車両」が一般的に使われる様になったのです。
公文書や新聞やテレビでは、常用漢字を使うのが必然の為、現在では「車輛」や「車輌」の表記を見る事はほとんど無くなったのです。
結論としては、乗り物を表す言葉としては、多くの方が当然と考えている「車両」の漢字表記を使うべきと言えるでしょう。