刑事手続きにまつわる言葉には、分かりにくい熟語もあります。
この記事では、「送致」と「送付」の違いを分かりやすく説明していきます。
表現の違いを、おさえていきましょう。
「送致」とは?
送致(そうち)とは、警察から検察に事件のあらましを送ること。
「被疑者はこういう人で、こんな事件が起きました」と報告することです。
刑事的な手続きを指します。
送致は事件の種類によっても、内容がかわってきます。
一般的な刑事事件でおこなわれるのは身柄送致。
身柄とは、被疑者の引き渡しです。
身柄付きの送致の場合は警察が被疑者を逮捕してから48時間、つまり2日以内におこなうことが決まっています。
また身柄の引き渡しがおこなわれない場合は「書類送検」という、紙の書類だけのやり取りがおこなわれます。
送致は検察官が「この事件は起訴した方がいいのか」決めるための、判断材料となるものです。
警察からもらった資料や被疑者との面談を通じて、事件の真相を調べていきます。
避けては通れない大切なステップです。
「送付」とは?
送致(そうふ)とは、手紙や書類などを相手に送ること。
インターネットや郵便、宅急便などをつかって、所定の場所に送り届けることです。
「送付」という熟語は「送る」と「付ける」が組み合わさった言葉です。
「送」は品物を相手に届けるという訳。
「付」にも同じように、物品をわたすという意味があります。
自分の持っている情報や商品を、相手に手わたすのが「送付」の本来の意味。
現代では今いる場所から別の場所に何かを送る、受けわたすことを「送付」と言い表しています。
送付と同じような熟語に、送達・郵送・発送などがあります。
またビジネスのシーンでは、郵送で書類を送るときに「送付状」をつけるのがマナーです。
送付状には差し出しの日付、差出人の名前、住所、書類送付の案内文をいれます。
簡単な文章を添えてあげると、相手に唐突な印象を与えずにすみます。
「送致」と「送付」の違い
どちらも「送る」という漢字が使われているので、勘違いしやすいです。
「送致」と「送付」の違いを、分かりやすく解説します。
・書類を送るのが送付
送致は刑事事件で、警察から検察に被疑者の身柄の引き渡しがおこなわれることを指します。
簡単な事件の場合は、身柄の引き渡しはおこなわれず「書類のみ送致」されることもあります。
また送付とは、書類やデータをおくること。
ビジネスシーンで取引先やお客さんに、資料を送ることをさします。
刑事事件で証拠物を警察から検察に送ることを、送付という場合もあります。
まとめ
「送致」と「送付」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも「送る」という意味の言葉です。
送致は刑事事件で、警察から検察に身柄や書類が引き渡されること。
また送付は情報やデータを送ること。
送付は一般のビジネスシーンでも使われる言葉です。
よく似た言葉の違いを知っておくと、心にゆとりが生まれ冷静な判断ができるようになります。