「適当」と「テキトー」の違いとは?「適切」との違いも解説

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「適当」とは?

この「適当」(てきとう)は、「ちょうど合っている」「相応しい」という意味で使う言葉です。

「適当な量を入れた」と言えば、きちんと合った量が入ったと解釈していいでしょう。

しかし、世の中ではこの「適当」を、「適当にやっておけばいい」などという使い方で、言わば「いい加減」という表現の代名詞のように使っている場面がしばしば見られます。

そのようなことは口語で「てきとう」と使われる際に多く、漢字で表記された「適当」の場合には少ないという特徴があります。

それは、口語では以下で説明する「テキトー」と区別することができないからです。

「テキトー」とは?

こちらの「テキトー」は、「いい加減でもいい」という意味で使う言葉です。

稀に、「適当」と同じ意味で使うこともありますが、まずこの「いい加減」の方だと考えていいでしょう。

先にも書きましたが、漢字の「適当」と口語では区別が付かない為、「適当に選んでおいて」と言ったつもり(ちょうど合うものを選んでおいて欲しいという意味で)が、聞いた方が「テキトーに選んでおいて」だと勘違いして、いい加減な選択で構わないのかと捉えてしまうようなことも少なくありません。

「テキトー」と文字で表記すれば簡単にどちらの意味なのかが分かりますが、口語の場合には上のように注意が必要だと言えるでしょう。

「適当」と「テキトー」の違い

このように、「適当」「テキトー」では、同じ発音ながら全く意味が異なり、逆の意味となっていると考えていいでしょう。

「適当」「ちょうど合っている」「テキトー」だと「いい加減で構わない」となるからです。

紛らわしい口語でも、前後の文脈から「それくらいがてきとうだ」という場合は、「適当」の方だとすぐに分かります。

また、「てきとうで構わないので早く」などという形なら、明らかに「テキトー」の方でしょう。

1つ間違えると反対の意味になってしまうので、この言葉を口語で用いる時にはどちらかのか分かる文脈にすることが大切です。

「適当」の「いい加減」という意味は誤用?

本来、「適当」にはこの「いい加減」というニュアンスは含まれていません。

その為、誤用と言えば誤用で、そのような意味にしたい場合には「テキトー」の方を使います。

しかし、何度も書いていますが、これらを口語で聞き分けることは不可能です。

そして、口語で使われた表現を文字にする際に、「適当」としてしまうことが少なくないので、「適当」「いい加減」という意味もあると思われてしまっています。

このような理由から、本来は誤用と考えるのが普通ながら、「いい加減」という意味でも使えてしまっているのが現状です。

「適当」の語源

適当は、「適」切で妥「当」だという意味で作られた言葉です。

その為、「いい加減」などという意味である訳ではありませんが、当時、「身分の卑しき人間には襤褸(つぎはぎ)などのどうでもいい衣服が合っている」ということを言いたい時にも「適当」として表現していたことから(意味としては通っていますが)、「どうでもいい」という意味でも使えるという解釈に発展したと考えられています。

そして、その後にそちらの意味の場合には「テキトー」というカタカナ語を使って区別するようになったものの、未だに「適当」でもその意味もあると思われています。

「適当」と「適切」の違い

「適切」(てきせつ)は、「適当」の本来の意味と一緒の言葉です。

つまり、口語で「テキトー」と区別するには、こちらを使えばいいという訳です。

「ちょうど合っている」という意味で使う「適当」は、この「適切」と言い換えることができます。

「適当」の英語

適当を英語で表現すると、“suitable”、または“appropriate”となります。

どちらも「適当な」「適切な」と訳せる言葉です。

“I think about this is suitable amount”と使うと、「私はこれくらいが適当(適切)な量だと思う」となります。

“suitable amount”「適量」と訳してしまっても構いません。

「テキトー」の英語

この言葉は英語では、「いい加減」という意味で考えます。

言動に対しては“sloppy”、怠惰な様子には“lazy”、量や数が対象なら“loose”と使ってください。

“There is no problem if loose number”とすると、「テキトーな数字で構わない」と表せます。

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