やらなくてはならないことがあるのに、集中ができなかったり、いろいろと考えてしまって心をかき乱されたりする経験をした人もいるでしょう。
そのような状況に人を追い込むものを「雑念」や「邪念」といいます。
小説やゴシップ記事でも、頻繁にみられることばです。
しかし「雑念」と「邪念」には大きな違いがあることを知っていますか。
この記事では、「雑念」と「邪念」の違いを分かりやすく説明していきます。
「雑念」とは?
気を散らす種々の思いや、修行などのじゃまになるよけいな思考を表現することばです。
集中しなければならない大切なことがあるときに、ふと現れる気を散らせる余計な考えや心を乱すさまざまな思いをしめします。
「雑念」の使い方
「雑念」は突然、人の意思にかかわらず現れる、空気や雲や水のようにつかみどころのないものとされ、「湧く」、「払う」、「浮かぶ」、「去る」などの動詞とよく一緒に使われます。
「邪念」とは?
人としての道にはずれた考えや、よこしまな考え、邪心のことをいいます。
また二つ目の意味として、本来の目的にはずれた余計な考えや、不純な考え、心の迷いからくる妄想、みだらな情念をさす場合もあります。
「邪念」の使い方
「邪念」は人の心の奥底にもともとその種があり、何かをきっかけに姿を現すものと考えられています。
よって、もともと人にあったものとして「抱く」という動詞を伴う場合があります。
実体のないものなので、「雑念」と同様に、「払う」、「去る」ということばもよく一緒に使います。
「雑念」と「邪念」の違い
いずれも、人の弱さと愚かさをしめすことばですが、大きな違いがあります。
それは、「雑念」は「善人」も「悪人」ももつものですが、「邪念」は悪意やたくらみを秘めたものなので、「悪人」もしくは「悪意ある行動する人」に使用することばです。
「雑念」の例文
・『先生のお話を聴いているときに、ふと「雑念」が浮かび、私をとらえました』
・『恋人から長く連絡をもらえなかったときは、浮気しているのではという「雑念」を必死に追い払いました』
・『趣味でランニングするとき、「雑念」が湧かないように音楽を聴いています』
・『青い空をながめていると、すべての「雑念」が消え去るような感じがしました』
「邪念」の例文
・『将来への不安から、さまざまに思い悩みましたが、すべての「邪念」を去って勉学に打ち込みました』
・『まったく「邪念」のない顔をした男で、とても人を騙すようにはみえません』
・『いつ頃から彼女は、横領という大罪を犯す「邪念」を抱き始めたのでしょうか』
・『私は「邪念」を払うために、旅にでることにしました』
・『あの学生は、奥さまに「邪念」を抱いておりました』
まとめ
「雑念」と「邪念」は人の弱さや愚かさを表現することばです。
もし日常的にこのことばに出会ったら、その「念」を抱いた人が「雑念」ならば弱さがあるが悪意のない善人であり、「邪念」ならば悪者として表現されたり、認識されたりしていると考えてください。
また他人に対して使用するときも、違いを理解して間違えないようにしましょう。