この記事では、プロレスの「ガチンコ」と「セメント」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ガチンコ」とは?
プロレスにおける「ガチンコ」とは、「真剣勝負」という意味を指しています。
元々は相撲で使用されていた用語と言われています。
相撲の立ち合いで、両力士が力いっぱいにぶつかると「ガチン!」という音がすることから、全力で真剣な試合をすることを「ガチンコ」と呼ぶようになりました。
「セメント」とは?
プロレスにおける「セメント」も、「ガチンコ」と同様に、「真剣勝負」という意味を持ちます。
こちらの語源は、道路工事などで使用するセメントそのものと言われています。
セメントが固まると硬いことから、手加減のない硬い攻撃が連想され、真剣勝負が「セメント」と呼ばれるようになったという説があります。
実際にプロレス業界では、ダメージの大きな打撃技を「カタい」と表現します。
ただし、セメントの語源については、定説は存在していません。
プロレスの「ガチンコ」と「セメント」の違い
プロレスの「ガチンコ」と「セメント」の違いを、分かりやすく解説します。
その違いは、試合が最初から真剣勝負であったのか、途中から真剣勝負になってしまったのか、という点にあります。
プロレスはショービジネスです。
どのような技をお客に魅せるか、どのような試合展開にしていくのかは、レスラーやプロモーター同士で、ある程度の申し合わせがあります。
決められた試合展開のことをブックと呼びます。
そうしたブックの申し合わせがなく、レスラー同士が全力で好きな技をかけあって勝敗を決する形式の試合が「ガチンコ」です。
ガチンコマッチ、といった呼び方が一般的です。
こうした試合は当初からガチンコであるとファンに宣伝されることが多く、大変な盛り上がりを見せます。
それに対して「セメント」は、ガチンコマッチを想定していなかった試合が、真剣勝負になってしまった例を指します。
事前の打ち合わせによるブックが決まっていたにも関わらず、試合中にカッとなってしまったり、元々レスラー同士の中が悪かった場合などに、セメントは発生しがちです。
レスラーがブックを無視して、本気で技をかけ、決まった展開ではないかたちで相手を倒そうとするのです。
有名なケースでは1999年の小川直也と橋本真也の試合があります。
小川が突然、橋本に猛攻撃を仕掛け、ブックを守っていた橋本は対応しきれないうちにノックアウトされてしまいました。
こうしたセメントは「通り魔型」と呼ばれます。
通り魔的にセメントを仕掛けたアンドレ・ザ・ジャイアントを、前田日明が返り討ちにした1986年のようなケースもあり、セメントマッチの結末は様々です。
場合によってはレスラーの大けがを招くため、観衆の盛り上がりの反面、業界では問題視されています。
まとめ
プロレスの「ガチンコ」と「セメント」の違いは、最初から真剣勝負として試合が設定されているか、そうでないかの違いでした。