「論を俟たない」
「論を俟たない」は「ろんをまたない」と読みます。
「論を待たない」と書き間違える人が多いので注意しましょう。
「論を俟たない」の意味
「論を俟たない」の意味や語源について紹介します。
「論を俟たない」の意味
「論を俟たない」は「明らかで論じるまでもない」「改めて言うまでもない」という意味です。
何かについて当然であり、今更言う必要がない位明らかであることを表す慣用句です。
はっきりと「言う必要はない」と言い切ってしまうと角が立ちますが「論を俟たない」というと遠まわしでしかも意味が伝わるので、相手もそれほど傷つかずに済みます。
「論を俟たない」の語源
「論を俟たない」は「論+を(助詞)+俟つ+ない(否定)」という言葉が組み合わさっています。
「論」は「物事の道理を説くこと、またはその内容」「考え・見解」という意味があり、「議論」や「理論」などに使われています。
「俟つ」は「頼りにする」「期待する」という意味で、ここから「必要とする」という意味にも使われる様になりました。
「俟たない」と否定形にすることで「必要ない」という意味なります。
常用漢字ではないので難しいのですが、「論を俟たない」にはこちらの「俟つ」が使われています。
これらの漢字の意味が組み合わさり、「言う必要がない位明白だ」という意味になったのです。
「俟つ」と「待つ」の違い
「待つ」にも「期待する」という意味があります。
こちらの「待つ」は、「人が来る」「電車が来る」などの様に、目に見えてこれから確実に来るもの、或いは来ることが前提とされているものに対して使われます。
「俟つ」の方は、「研究結果」「才能の開花」など、目に見えないものごとや事態などが変化する可能性に対して使われます。
「論を俟たない」とよく似た意味の諺として「言うをまたない」がありますが、こちらも「言うを俟たない」と表記します。
「論を俟たない」の言葉の使い方
「論を俟たない」の使い方は意味を重視します。
「言う必要がない」ということで、相手に対して何らかの否定的な内容を伝える表現です。
相手の言動や人格に関してこの言葉を使うと、相手に対して失礼にあたる可能性が高くなります。
あくまで一般論や、常識的な内容を述べる時に使った方が無難でしょう。
日常会話で使うと意味が通じずにコミュニケーションが取りにくくなる可能性がありますので、ビジネスの場で使わない方がいいでしょう。
「論を俟たない」を使った例文・短文(解釈)
「論を俟たない」を使った例文と解釈を紹介します。
「論を俟たない」の例文1
「いじめはする方が悪いということは論を俟たない」
最近ではいじめが社会問題になっていますが、中には「いじめられる方にも原因があるのでは」と言う人もいます。
しかし理由が何であってもいじめという行為自体は許されるものではなく、してはいけないものだということを伝えている文です。
「論を俟たない」の例文2
「発音が悪くて通じなかったことは論を俟たない」
いざ外国人に話しかけられた時に、一生懸命英語で喋ったものの全く通じずに落ち込むことがあります。
自分の発音の悪さにショックを受けている様子が伝わります。
「論を俟たない」の例文3
「彼がオタクであることは論を俟たない」
会社で普通に見える人なのに、何故か持ち物がアニメキャラだったり、マイナーなアニメの話題にやたらと詳しい人がいると、周囲から「オタク」間違いないと言われます。
本人がカミングアウトしなくても明らかに周囲に分かってしまう行動を取っているのでしょう。
「論を俟たない」の例文4
「これが普通の状態でないことは論を俟たない」
システムを運用していてやたらと処理が遅かったり、サーバーがダウンしたりすることが続くと不安になるものです。
一刻もはやくメンテナンスをして欲しいという気持ちを伝える時の言葉です。