上司が部下を大きな声で怒鳴った場合、「パワハラ」とみなされる場合があります。
「パワハラ」と「叱責」はどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「パワハラ」と「叱責」の違いを分かりやすく説明していきます。
「パワハラ」とは?
「パワハラ」とは、「パワーハラスメント」の略で、職場などで職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、相手に精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為のことです。
上司から部下に対してだけでなく、先輩・後輩、同僚間、部下から上司に対する行為や顧客や取引先によるものも含まれます。
厚生労働省はパワハラの類型として、身体的攻撃、精神的攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害をあげています。
「ハラスメント」は、いやがらせ、いじめという意味の言葉です。
「ハラスメント」を使った言葉として、他にも「セクシャルハラスメント」「モラルハラスメント」などがあります。
ちなみに「パワーハラスメント」は和製英語で、「パワハラ」を英語にすると、“abuse of authority”になります。
「パワハラ」の使い方
「パワハラを受ける」「パワハラをする」という形で使われます。
2020年に施工された改正労働施策総合推進法は「パワハラ防止法」と呼ばれ、「パワハラ」の基準やそれに対する対応について定めています。
「叱責」とは?
「叱責」とは、他人の失敗などを叱りとがめることを指します。
「叱」という漢字は、しかる、注意するという意味を持ち、「責」という漢字は、とがめるという意味を持ちます。
同じ読みで「失跡」という言葉がありますが、「失跡」は、行方をくらますこと・行方が知れなくなることを意味します。
「叱責」は英語で“reproof”といいます。
「叱責」の使い方
動詞として使う場合には、「??責する」と言う形で用いります。
「叱責」の対象は、自分以外の他人であるため、子供や友人、知らない相手に対しても使うことができます。
また、ペットの犬を叱ることも「叱責する」と言えます。
「パワハラ」と「叱責」の違い
「パワハラ」の相手は、職場などで何らかの職務上の関係を持つ人です。
そのため、家族や職務に関係ない他人に対して苦痛を与えても「パワハラ」にはなりません。
一方、「叱責」の相手は特に限定されていません。
また、「パワハラ」は業務の適正な範囲を超えて行われるものです。
そのため、必要な範囲内で叱ることは「叱責」であって「パワハラ」にはなりません。
部下を「叱責」することが常に「パワハラ」になるとは限りませんが、度を過ぎれば「パワハラ」になってしまう可能性もあります。
まとめ
「パワハラ」は、職務上の関係がある相手に対する嫌がらせのことで、「叱責」は、叱りとがめることです。
度を超えれば「叱責」も「パワハラ」になりかねないので注意しましょう。