この記事では、「余波」と「名残」の違いを分かりやすく説明していきます。
「余波」とは?
「余波」には「なごり」「よは」2つの読み方があります。
「なごり」の場合は「名残」と同じ意味ですが、「よは」と読む場合は以下の意味になります。
1つ目は「波が荒くなる原因が去った後に、まだ残っている波のこと」という意味で、台風や低気圧などにより一時的に波が立つ状態になり、それが去った後もしばらく波が高い状態が続くことを言い、こちらが元の意味になります。
2つ目は上記から転じて「ある事柄が周囲に悪い影響を及ぼすこと」という意味で、あるものごとが起きたおかげで、他の部分に好ましくない影響が及んでしまう様子を言います。
「余波」の使い方
「余波」は「波が荒くなる原因が去った後に、まだ残っている波のこと」「ある事柄が周囲に悪い影響を及ぼすこと」という意味で使われます。
名詞として「余波が残る・残った」「余波の影響で」などと使われます。
基本的に、メインとなるものごとが生じた後、他が良くない影響を受ける時に使われる言葉です。
「名残」とは?
「名残」の意味は数多くありますが、主なものは以下の通りです。
1つ目は「あるものごとが過ぎ去った後でも、その気配や影響が残ること」という意味で、こちらは良い影響・悪い影響というニュアンスはありません。
2つ目は「人と別れるのが寂しいと思うこと」という意味で、その人と離れがたい気持ちになることを言います。
3つ目は「ものごとの終わり」という意味で、あるものの最後になることを言います。
4つ目は「故人を偲ぶもの」という意味で、故人の忘れ形見や子孫のことを言います。
5つ目は「病気の影響が残ること」という意味で、身体が衰弱したり後遺症が出ることを言います。
上記に共通するのは「主なものが過ぎ去って残る」という意味です。
「名残」は当て字で、「余波」が「波の残り」になり、そこから変化した言葉で、意味も「余波」から変化して使われる様になりました。
「名残」の使い方
「名残」は「あるものごとが過ぎ去った後でも、その気配や影響が残ること」「人と別れるのが寂しいと思うこと」「ものごとの終わり」「故人を偲ぶもの」「病気の影響が残ること」などの意味で使われます。
名詞として「名残が尽きない」「名残惜しい」などと使われます。
基本的に、主なものごとが過ぎ去った後に残る影響や感情で、惜しむ気持ちが含まれることが多くなります。
「余波」と「名残」の違い
「余波」は「主なものごとが生じたことにより他に生じる、好ましくない影響」という意味です。
「名残」は「主なものごとが過ぎ去った後に残る、気配や惜しむ気持ち」という意味です。
「余波」の例文
・『まだ台風の余波が残っている』
・『列車事故の余波でダイヤがまだ乱れている』
・『大雨の余波でまだ河川が増水している』
・『サーバーダウンの余波で取引が滞っている』
「名残」の例文
・『平安時代の名残をとどめた街並みだ』
・『遠距離恋愛の恋人と名残惜しくて離れられない』
・『同窓会が終わっても名残が尽きない』
・『城下町だった名残で家の塀が高い』
まとめ
今回は「余波」と「名残」について紹介しました。
「余波」は「悪い影響が出ること」、「名残」は「気配や惜しむ気持ちが出ること」と覚えておきましょう。