この記事では、「勇み足」と「早合点」の違いを分かりやすく説明していきます。
「勇み足」とは?
「勇み足」【いさみあし】は、相撲の決まり手のひとつです。
また、うっかり調子に乗って負けを呼び込んでしまうことの例えにも使われます。
相撲の決まり手の「勇み足」は、相手を追い詰めるとき、力が余って自分が土俵の外に出てしまい負けることです。
このことが転じ、勢いが余って自ら失敗を招いてしまうことが「勇み足」と呼ばれるようになりました。
調子に乗って余計なことをしたため、それが裏目に出てしまう様子を指しています。
「勇む」という言葉自体は力がみなぎっている様子を表す良い意味の言葉です。
しかし「勇み足」になると、自分でわざわざ負けてしまうことを指すので良い意味ではなくなります。
ニュアンスの似ている言葉には、焦って人より先に行動に出る「先走る」や競技でスタート前に踏み出てしまう「フライング」があります。
「勇み足」の例文
・『セールスに熱を入れ過ぎて、かえってお客さんに嫌われてしまったのは勇み足だった』
・『まだ開催することが確定していないのに準備を始めるのは勇み足だぞ』
「早合点」とは?
「早合点」【はやがてん】【はやがってん】とは、早まってわかったつもりになること、話をよく聞かないで間違った解釈をしてしまうことです。
「早合点」は「早い」と「合点」を組み合わせた言葉です。
名詞なので、動作を表すときは「早合点する」の形で使います。
「合点」は承知、納得をすることです。
漢字の意味に目を向けてみると「合」は状態が同じであること、「点」は評価の結果をしるしたものを表しています。
昔、俳句の作品の評価をするとき、優秀な作品には「点」と呼ばれるしるしをつけていました。
しるしをつけることを「点を合う」と呼んだことから、変化して「合点」という言葉が生まれました。
また承諾したうえで点をつけることから、承知、納得すること自体が「合点」と呼ばれるようにもなったのです。
「合点」が「早い」とは承知するのが早いという意味になるのですが、「早合点」の場合は話を最後まで聞かず、早い段階でわかったつもりになるそそっかしさ、勘違いが起きるさまを指します。
類語には「早とちり」「独り合点」があります。
「早とちり」は慌てて間違えてしまうことで、意味は「早合点」とほとんど同じです。
「独り合点」も自分の考えだけで解釈してしまうことを指し「早合点」と同じニュアンスを持ちます。
「早合点」の例文
・『友人はそそっかしい性格で人の話を聞かず早合点してしまうので、うっかりミスが多い』
・『恋人に呼び出されたので、プロポーズされるのかと早合点しておしゃれをして行ったら、用件は別れ話だった』
「勇み足」と「早合点」の違い
「勇み足」と「早合点」の違いを、分かりやすく解説します。
「勇み足」は、勢い余って余計なことをしたため失敗を招くことです。
「早合点」はよく確認せず分かったつもりになることです。
どちらも、自分の落ち度で失敗を招くさまを表しています。
ただし「勇み足」は良かれと思って頑張ったことが裏目に出ることを指すのに対し、「早合点」はそそっかしさから失敗を招くことを表しており、両者の意味ははっきりした違いがあります。
まとめ
「勇み足」と「早合点」は、どちらも焦って失敗を招くようなニュアンスがあり混同されやすいのですが、意味ははっきりと異なっています。
日常生活やビジネスシーンに登場することも多いので、間違った使い方をしないよう意味を把握しておきましょう。