この記事では、「先んじて」と「先だって」の違いを分かりやすく説明していきます。
「先んじて」とは?
先んじては、せんじてと読んでしまう人も少なくありませんが正しくは、さきんじてという読み方をする言葉です。
ちなみに先んじては、動詞である先んじるの連用形である先んじに、接続助詞であるてを加える事で成立している言葉となっています。
そのため先んじては、前もってという意味を持っているのです。
「先んじて」の使い方
先んじては、家族や友人との何気ない日常会話の中では使用される事がほとんどない言葉となっています。
基本的には主にビジネスシーンで、使われる事が多く見られるのです。
具体的には、ライバル企業に先んじて投資する、といった形で先を見据えて前もって行動を起こす際に使われるケースが多いです。
他にも、先んずれば人を制す、ということわざもあり、これは人よりも先に行動を起こす事で物事を有利に進められる、という意味を持っています。
「先だって」とは?
先だっては、せんだってという読み方をしてしまう人もいますが、正確にはさきだってという読み方をすべき言葉です。
更に先だっては、先日や先頃、予めや前もってという意味を持つ言葉となっています。
「先だって」の使い方
先だっては、日本語の表現としては古めであるため、日常会話の中で頻繁に使われる様な言葉ではないです。
ただしビジネスシーンでは、現在でも比較的良く使用されるため、この先だってを見聞きした事があるという人は少なくありません。
使われ方としては例えば、先だってお約束しましたが、といった形で予め約束した事を告げる意味を持っています。
ただしこの言葉は、直前ではなく1日以上は時間が経過している事を表す際に用いるのが基本です。
「先んじて」と「先だって」の違い
先んじてと先だっては、文字を見れば分かる様に共に先という漢字を用いた言葉です。
しかも前もってという風に同じ意味合いを持っている上にどちらもビジネスシーンで使用される事が多い点も、ややこしい所だったりします。
ただし先んじては、他よりも先に行動を起こす、という意味合いで使われる言葉です。
一方の先だっては、先日や先頃という過去を表す際に用いるべき言葉となっています。
「先んじて」の例文
・『他社に先んじて新しい技術に投資した結果、新商品の開発に成功しました』
・『彼は先んじて行動を起こす事により、同僚や部下からの信頼を得ています』
「先だって」の例文
・『先だってお伝えしていた様に、明日訪問させて頂きます』
・『先だってご提案した件につきまして、ご検討頂けましたでしょうか?』
まとめ
2つの言葉はどちらも先という文字が使用されており、しかも前もってという同じ様な意味合いを持つ言葉同士です。
もっとも先んじての方は、先に行動する、という意味を表現するために使用する言葉となっています。
先だっての方は、先日といった形で直前ではなく少し以前の過去を表したい時に使用すべき言葉です。