「杞憂」
「杞憂」は「きゆう」と読みます。
難しい漢字で読みにくいのですが、ビジネスやプライベートでよく耳にする言葉です。
「杞憂」の意味
「杞憂」の意味は「無用な心配をすること」です。
常にネガティブ思考の人が、ものごとを悪い方へ悪い方へと考えてしまい、起きるかどうか分らない事故や災害を心配する時の言葉です。
単に「心配する」とは違い「余計な心配をすること」を言います。
例えば「彼氏と初デートで好印象を持って貰えるか心配」という単なる悩みではなく、「事故に遭ってデートの時間にまに合わなかったらどうしよう」「彼が待ち合わせ場所を間違えていたらどうしよう」と、不確かで起きるか分からない悪いことを次々と考えて不安になってしまう状態のことです。
「杞憂」の言葉の使い方
「杞憂」の使い方には以下のポイントがあります。
その心配が実現しないことが前提
「杞憂」を使う時には、その心配が実現しないことが前提です。
そして多くの場合実際にその予感が的中することはありません。
その様な時には、事後に「杞憂に終わった」と表現します。
元々起きるかどうか分らないことに対して使う言葉ですので、「杞憂」の言い回しで最も使われることが多くなります。
動詞形はあまり使われない
「杞憂」は名詞ですが、動詞として「(自分が)杞憂する」と使うことはあまりありません。
何故ならば本人が「無用な心配をしている」と自覚した上でその様に言うケースが少ないからです。
この様な場合は、周囲の人が「無用な心配をしている」と判断した上で「杞憂に過ぎない」と言います。
「杞憂」を使った例文・短文(解釈)
「杞憂」を使った例文と解釈を紹介します。
「杞憂」の例文1
「海外赴任の噂が出ていて心配していたけれども杞憂に終わった」
海外赴任の辞令が出てしまうと「家族をどうしよう」「子供の学校をどうしよう」「家や車をどうしよう」など、次から次へと心配ごとが湧いてくるものです。
辞令発表までドキドキして不安な日々を過ごしていましたが、実際にはその様な辞令は出ずに終り、全くいらぬ心配をしてしまったとホッとしている様子を表しています。
「杞憂」の例文2
「子供が迷ったらどうしよう、事故に遭ったらどうしようと思っていたが杞憂に終わった」
この家庭は子供を一人旅に出したか、初めての場所に行かせたのでしょう。
あれこれとネガティブなことを考えて心配していたのですが、無事に目的地に着いたか帰宅して、安心している気持ちを表しています。
「杞憂」の例文3
「治らない病気なのではと心配して眠れなかったが、異常なしと言われて杞憂に終わった」
会社の健康診断で再検査になると、命に関わる病気だったらどうしようと心配になるものです。
病院で再検査して貰ったところ異常なしと言われて、今迄心配していたのがウソの様にスッキリした気持ちを表しています。
「杞憂」の例文4
「彼の心配性はいつも杞憂に過ぎない」
仕事に対していつでも「トラブルがあったらどうしよう」 と心配している人に対して言う言葉です。
実際にトラブルがあった試しなく、少し面倒な存在に思われているという意味が伝わります。
「杞憂」の由来・語源
「杞憂」の語源は、中国の周の時代に「杞」という国があったことに由来します。
「杞」の国にある男がいて、毎日の様に「天が崩れ落ちて来たらどうしよう」「地が崩れ落ちたらどうしよう」と心配する余りに、食欲もなくなり不眠症になってしまいました。
そこで知恵のある知人が「天は空気の集まりだから、崩れ落ちてくることはない」「地は土が詰まってできているものなので、崩れ落ちることはない」と言って聞かせました。
これにより男の心配は解消したということで、「杞」の人が余計なことを「憂いていた」ことから「杞憂」と言われる様なったのです。