民法などの法律にまつわる本を読んでいると、小さな違いが気になってしまうこともあります。
この記事では、「事実上」と「実質」の違いを分かりやすく説明していきます。
似ている言葉同士の小さな差をただしく理解して、ワンランク上の勉強をおこなっていきましょう。
「事実上」とは?
事実上とは、実際のありさま・様子をあらわしています。
見せかけや体裁・理想ではない、現実の状態をさした言い方です。
「事実」には本当の様子という意味がはいっているので、強調の「上」がプラスされた「事実上」はより強いニュアンスになっています。
事実上の言い回しとしてよく使われるのが「事実上の夫婦」や「事実上の婚姻関係」という言葉です。
籍は入れていないカップルが、まるで本物の夫婦のように共同生活をいとなんでいることを表しています。
法律の観点からみると夫婦ではないけれども、現実の世界では家族としてひとつ屋根の下で暮らしているので「事実上」という言葉がつかわれます。
法律や既存のルールからいったん外して「現実のありさま」をよりリアルに伝えているのが事実上というキーワードになります。
「実質」とは?
実質とはその物体の中身や、性質のことをあらわす言葉です。
すこし難しく思えますが、たとえば携帯ショップで「実質無料!」というキャンペーンを見たことがある人もいるのではないでしょうか。
実質無料というのは、そのスマホに支払う額と同じくらいの割引を受けられるので「支払う金額はタダになりますよ」ということ。
表向きは高そうに見えるものの、実際支払う金額はタダ同然に安くなることを伝えています。
このように実質は、ぱっと見ではわからない中身・内訳・内容をあらわす言葉です。
お金の支払いでよく使われる言葉で、実質年率や実質賃金というキーワードもあります。
現実に根づいた値・金額というニュアンスに近いのが実質です。
「事実上」と「実質」の違い
紛らわしくて使い分けが難しい「事実上」と「実質」。
「事実上」と「実質」の違いを、分かりやすく解説します。
困ったときの手引きにしてみてください。
・事実上はありさま、実質は中身
事実上には会社の経営状態や私生活の様子など「長く続いている状態や様子」をあらわす言葉です。
より大きなスケールで物を見たときのありさまを伝えていることが多く、事実上の倒産・事実上の夫婦といった言い方をします。
組織や家族などの大きなグループに使われます。
一方で実質は、キャンペーンや支払いの「中身・内容」をつたえる言葉になります。
より現実的な数値・金額をあらわしている表現になります。
まとめ
「事実上」と「実質」の違いについて、分かりやすくまとめてお伝えしました。
どちらもニュースや日常生活でよく耳にする表現になります。
事実上は今のありさまを分かりやすく伝える言葉。
実質はキャンペーンなどの中身を伝える表現です。
違いを正しく認識して、日本語のスキルをアップさせていきましょう。