「癇に障る」について
この「癇に障る」は、口語では意味さえ知っていれば特に問題なく使えますが、漢字で表記する場合には少し問題がある言葉です。
「癇に障る」の意味とは
「癇に障る」は、「かんにさわる」と発音してください。
この発音は聞いたことがある人も多いでしょう。
「癇」とは、人間の誰もが体の中にこの「虫」を飼っており、これが刺激されることで怒りの感情が湧くと言われています(科学的な根拠はありません)。
それに「障る」(その虫が刺激される)という意味の言葉で、「腹立たしい」(怒る前兆の状態になった)という意味で使います。
刺激される対象の「癇の虫」(かんのむし)は「疳の虫」と表記されることがあり、「癇に障る」も「疳に障る」と書いても間違いではありません。
「癇に障る」の言葉の使い方
癇に障るは、腹立たしく思った時に使う言葉です。
「あいつの態度が癇に障った」などという使い方をよく見聞きします。
似たような意味の言葉も多いですが、比較的昔から存在している言葉で、前項の説明で挙げた「癇の虫」も、その昔からの言い伝えだと考えてください。
尚、表記して使う場合、「癇」、「疳」の二文字共に常用漢字ではない為、「かんに障る」と平仮名にされることも多いです。
「癇に障る」を使った例文
癇に障るを使った例文です。
「障る」(さわる)は「触る」と同じ意味ですが、「癇に触る」は間違いなので、このように表記しないように気を付けてください。
「癇に障る」の例文1
「最終的に合意はしたが、こちらが譲らなくてはいけなかったのが癇に障るところだ」
合意の為に、自分たちの方が条件などを譲らなくてはいけなかったことが癇に障ったと言っています。
「癇に障る」は、多少拡大解釈して「悔しく思う」という意味でも使える言葉で、この例文の場合はそちらの方で解釈し、「〜が悔しいところだ」とするといいでしょう。
「癇に障る」の例文2
「いちいち癇に障る奴だ」
その人の言動全てが腹立たしいという使い方です。
実際にはそこまでいかなくても、腹の立つようなことを繰り返す人に対して使う基本的な形だと考えてください。
「癇に障る」の例文3
「あんなことを言われて、癇に障らない方がおかしい」
この「障らない方が」という使い方もよく見聞きします。
「怒らない方が」と解釈してください。
この使い方から、それほどのことを言われたのだと分かる例文です。
「癇に障る」の英語と解釈
癇に障るは、英語では“irritating”と表記します。
“irritating”には「腹立たしい」という意味があり、“he is very irritating”と使うと、「彼はとても勘に障る奴だ」という文になります。
“irritated”と過去形にすると、「勘に障った」として使えます。
“irritated with his actions”で、「彼の行動が癇に障った」となり、使い方はとても簡単です。
「癇に障る」の類語や類義表現
癇に障ると似た意味の言葉です。
意味だけでなく、見た目もそっくりの言葉があるので注意が必要です。
「癪に障る」(しゃくにさわる)
見た目が「癇に障る」と大変似ているので、このように表記されているのを「かんにさわる」と間違えて読んでしまうこともあるくらいです。
「癪」(しゃく)は胸が苦しくなる病気の総称として使われる言葉です。
それが起こってしまうそうだと解釈し、「腹立たしくてムカムカする」という意味で使います。
その為、意味もほとんど一緒です。
これが幸いして、「癇に障る」と「癪に障る」は、例え間違え使ってしまっても、意味だけは通るという点が面白いところです。
この2つを見分けるコツとして、「癇」は「間」という字が入っているので「かん」と読めると覚えておくと便利です。
「イラっとする」
若者の間では、「癇に障る」よりこちらの方が使われています。
意味は「癇に障る」と同じだと考えて構いません。
このまま片仮名で使うことが多いですが、「イラ」には「苛」という漢字が当てはまります。
これを使って、「苛つく」としても意味の同じ類語になります。