欧米と日本のお笑いが違うのは既にご存知の方も多いと思います。
日本はどちらかと言うと面白おかしく自分や誰かを卑下して表現するのに対して欧米はスタンドアップで知性のある言い回しでコメディを表現するといいます。
そんな欧米人は「皮肉」を利かせたジョークと「ブラックジョーク」が大好きです。
一歩間違えれば差別すれすれの部分を上手くお笑いに変えて伝える技術や頭の回転は日本のお笑いにはなかなか見られない部分があります。
しかし、ふと考えると「皮肉」と「ブラックジョーク」の違いはなんでしょうか。
実はニュアンスが違っていることはあまり知られていません。
この記事では「皮肉」と「ブラックジョーク」の違いを分かりやすく説明していきます。
「皮肉」とは
一言で説明をすると驚くことに『遠回しに意地悪く非難をすること』とかなりネガティブなイメージを持つ言葉になります。
つまり、「皮肉」そのままだとただの悪口になってしまうのです。
例えば『皮肉な口調で叱る』という表現は、相手の行いをくどくどと直接的ではないものの悪い方向で批難しているとても意地悪な感じがします。
欧米でのコメディはこのままでは悪口になってしまうので、「皮肉」のエッセンスを利かせてジョークにするのが上手です。
有名なイギリスのコメディアンであるローワン・アトキンソンの芸で地獄の王様が死人を裁く場面がありますが、彼は『フランスとイギリス、ドイツはいろいろと語らなければならない事があるからな。』と言い放ち大爆笑をさらいました。
これはこの3国が歴史的に長い間争いを繰り広げていたことを皮肉ったなかなか高度なジョークなのです。
「ブラックジョーク」とは
一方「ブラックジョーク」はどうでしょうか。
通常のジョークと比べて何か『ブラック』な部分があるというイメージはつきますが何をもって『ブラック』なのでしょうか。
実は『倫理的に話題に上げない方が無難な話題やトピックを上げたジョーク』のことを表します。
例えば、性的なものや、人種差別、外見や先天的な病気にたいする偏見などです。
『ブラックユーモア』という言葉と同義語です。
かなりボーダーラインぎりぎりのトピックをお笑いにする為、時代や場所によっては批難の的になり得る危険なジョークです。
先ほどのローワン・アトキンソンもある芸の中でブラックジョークを放って爆笑しています。
『地獄に来たものの名前を述べる!まずはユダヤ人!君たちの聖書に書かれていた事は間違いだ。』などです。
これは時と場所を選ばなければただの偏見にしかなりません。
「皮肉」と「ブラックジョーク」の違い
この二つは『遠回しな悪口風のジョーク』か『倫理に触れるトピックで笑いを誘うジョーク』かではっきりと区別がつきます。
欧米では“Sarcasm”(サーカズム 日本語で皮肉)というのはある意味で知性の一つとして認知されています。
日本では悪いイメージですが、欧米ではそこまで悪い認識がないのはなかなか面白い違いではないでしょうか。
倫理に触れないで「皮肉」を利かせることはできますが、「ブラックジョーク」はそうはいかないと考えて頂ければ間違いありません。
まとめ
如何でしたでしょうか。
2つとも我々日本人には少し理解しにくい部分があります。
「皮肉」も「ブラックジョーク」も上手く利かせればとても面白いですが、一歩使い方を間違えると途端にただの偏見や悪口になりますので注意が必要です。
口は禍の元とはよく言ったものです。
くれぐれもご注意を。