物事の状態を表す表現として「欠如」と「不足」という言葉があります。
どちらもネガティブなあまりよくない状態を表す言葉ですがどのような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「欠如」と「不足」の違いについて解説します。
「欠如」とは?
「欠如」とは、「あるべきものが欠けていて存在していないこと」を意味する言葉です。
「本来であればあって当然のものが欠け落ちていること」を指す言葉が「欠如」です。
必要な性能が発揮できなかったりちょうどいい塩梅に調整できなかったりなど、欠けているせいで何らかの問題が発生するおそれがある際に用いられる表現です。
何を持って「欠如」と表現するのかについてはその他大勢との比較を基準にするのが一般的です。
他の人や物が当たり前に備えているのに持っていない場合を指して「欠如」と表現します。
先天的なものや基本的なもの、ベーシックな仕様などと比べて差異がある場合に使われることが多く、基本的には肯定的なニュアンスでは使われないネガティブな表現です。
「欠如」の使い方
・先天的に注意力が欠如している。
・良心が欠如していなければあんな事件は起こせない。
・部品が欠如していたので不良品として交換してもらった。
・彼のふるまいから見るに常識が欠如していると言わざるをえない。
「不足」とは?
「不足」とは、「十分ではなく足りていないこと」という意味の言葉です。
「もっとたくさん欲しいのにそれだけの量がない」様子を指す言葉が「不足」です。
十分な量があり満ち足りている様子を指す言葉として「充足」がありますが、「不足」は「充足していない」ことを意味しています。
ある一定の上限で満たされるような物事に対して使われる言葉なので上限や際限がないものに対しては使われません。
同じ貯金であっても買いたいものなどがあり目標を持って積み立てているのに目標額に場合は「不足」という表現が当てはまりますが、特に目標金額などを設定せずに貯金している場合は上限が存在しないため「不足」という表現を使うのは適当ではありません。
はっきりと必要な量夜学に対してそれよりも少ない状態であること表すのが「不足」です。
「不足」の使い方
・つゆに雨がふらなかったので水不足が心配だ。
・エネルギー資源高騰により石油備蓄量が不足している。
・食料不足解消のため各国に援助を願い出る。
・人手不足で休みが取れない。
「欠如」と「不足」の違い
「欠如」と「不足」の違いは「本来あるべきかどうか」です。
「欠如」は本来あるべきものが欠け落ちていて存在しないことを意味する言葉です。
あってもなくてもいいものや人によって差があるものに対しては使いません。
「不足」は量や数が足りていないことを指す言葉です。
欲しいものに対して使われる言葉ですが本来あるべきものや絶対に必要なもの以外のもの対しても使われます。
「欠如」は100あるべきものが0の状態であることを表し、「不足」は100欲しいのに90や30などしかなく十分ではない状態を表しているところにも違いがあります。
まとめ
「欠如」と「不足」は似ているようで意味合いの大きく異なる別の言葉です。
言葉の違いで伝えたい内容が全く変わってしまうので使い分けに注意してください。