この記事では、「手段の目的化」の意味を分かりやすく説明していきます。
「手段の目的化」とは?意味
「手段の目的化」とは、「ある目的を実現するために選択・採用した手段が、いつのまにかその手段を実行すること自体が目的に変わってしますこと 」を意味する慣用句で、ビジネス用語としてしばしば使われる言葉です。
ここで使われている「手段」は「ある事を実現させるためにとる方法」の意味であり、「目的」は「実現しようとめざす事柄」の意味で、一般的に使われている意味です。
「手段の目的化」の概要
「手段の目的化」を掘り下げて考えると、以下の様にニュアンスの違いで3つに分類できます。
1つ目が「手段」自体がいつしか「目的」になってしまう場合です。
例えば会議をする目的は、何かを決定する事であり、その手段として議論する会議を行うものです。
それが集まって議論する手段を行うだけで満足し、結論を出すと言う目的を先送りするような例がこれに当たります。
2つ目が「目的」を見失うことで、「手段」にばかり目がいってしまう場合です。
これは会社で、上司が部下へ仕事を与える場合に、本来の目的を詳しく伝えず、部下にその目的達成のために割り振った手段のみを目的として指示したことで、主旨のズレた仕事を行ってしまうのが典型例です。
3つ目が「手段」だけが残り、完全に「形骸化」している場合です。
これは、会社内には意外といくつも潜んでいるはずです。
誰も読むことのないレポートが毎月発行されていたり、関連情報として直接関係ない多くの人にメール配信されていたり、目的が分からない定例ミーティング等、枚挙に遑がないはずです。
いずれの場合にも、無駄に時間を使うだけであったり、仕事の効率を上げる弊害となるため、一般的に「手段の目的化」は良くないことの意味で使われています。
こうした「手段の目的化」が生じる理由として、先の3分類の1つ目は、皆が目的が何かを失念していることで起きるものです。
また2つ目の場合には、本来の目的を上司が十分に伝えていないことで、部下はそもそも本来を目的を知らないのが理由です。
さらに3つ目の場合には、長くルーチンとして手段を行い続けていることで、目的が何であったのかさえ消え去っており、常に業務全体の見直しを行うのを怠っているのが原因です。
こうした3つの「手段の目的化」が起きない様に各人が意識し続けることが求められるのです。
「手段の目的化」の言葉の使い方や使われ方
「手段の目的化」の言葉は、以下の例の様に使われます。
・『彼は仕事の資料の体裁に凝り過ぎ、作成に長時間を費やし過ぎている。まさに手段の目的化の最たるものと言えます。』
・『会社での仕事は、目的と手段の、何段階ものツリーで構成されます。従って、自分の仕事の目的だけでなく、ツリーの大本の目的を理解しないと、手段の目的化が、起きてしまう。』
「手段の目的化」の類語や言い換え
「手段の目的化」は「手段と目的の混同」や「自己目的化」などと言い換えられます。
まとめ
「手段の目的化」とは、「ある目的を実現するために選択・採用した手段が、いつのまにかその手段を実行すること自体が目的に変わってしますこと 」の意味を指す慣用句です。
会社や仕事の遂行において、陥りやすい弊害として、ビジネス用語的にしばしば議論される言葉です。