敬う気持ちを表現する言葉としてよく使われるのが「敬意」と「敬愛」ではないでしょうか。
いずれも「敬う」という字を冠し、ひびきもイメージも似た言葉で混同しがちですが、意味や使い方に異なる点があり、注意が必要です。
この記事では、「敬意」と「敬愛」の違いを分かりやすく説明していきます。
「敬意」とは?
「けいい」と読みます。
相手に対する尊敬の気持ちを意味します。
似た言葉に「尊敬」、「恭敬(くぎょう)」、「欽慕(きんぼ)」があります。
「敬意」の使い方
「敬意」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『あなたは先輩に対して、もっと「敬意」を払うべきです』
・『人々は、彼の偉大な業績へ「敬意」をこめて記念碑を立てました』
・『兵士たちは、瀕死の将軍に「敬意」を表するため、長く敬礼しました』
・『私が常日頃から心がけているのは、「敬意」を持って相手に接することです』
・『表彰状には感謝と「敬意」を表すと書いてありました』
「敬愛」とは?
「けいあい」と読みます。
敬い、親しみの心を持つことを言います。
尊敬するだけでなく「親しみ」という、「情」や「ぬくもり」も含んだ言葉です。
使用は、時間を長く共有したり一緒に物事に取り組んだりする親しい人に限られます。
尊敬し、親しみも同時にもてる人間関係は実社会では限られています。
会社の上司、学校の恩師や先輩などによく使われる言葉です。
「敬愛」の使い方
「敬愛」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『私は長年、医師である叔父に「敬愛」の念を抱きつづけてきました』
・『私にとってあの先生は、勉強だけでなく部活動や私生活でも多くのことを教えてくれた「敬愛」する恩師です』
・『みんなが「敬愛」する先輩なので、結婚式の余興も大変盛り上がりました』
「敬意」と「敬愛」の違い
それでは「敬意」と「敬愛」の違いを、改めて整理してみましょう。
いずれも「相手を尊敬する」という意味は同じです。
しかし「敬意」が「私はこの人を尊敬しています」という「意思」を表すのに比べて、「敬愛」は「尊敬と親しみを持っています」という意味になり、ニュアンスが異なります。
また、「敬愛」は、そのまま「する」をつけて動詞として使用できますが、「敬意」は敬意するとは言いませんので、注意しましょう。
「敬意」には「持つ」、「払う」、「こめる」、「表する」、「表す」などセットで使う動詞が別にあります。
一緒に覚えてしまいましょう。
使い分けるときは、その敬う気持ちが「尊敬だけ」ならば「敬意」、親しみや情が含まれる場合は「敬愛」を選ぶと自然です。
まとめ
この記事では「敬意」と「敬愛」の違いをみてきました。
どちらも「敬う気持ち」に使われる大切な言葉ですが、「親しみがあるかないか」という意味の違いと、「する、をつけて動詞として使えるかどうか」という用法の違いがあります。
意味や違いを正しく理解して間違えないようにしましょう。