混同されがちな言葉として「壮大」と「荘厳」があります。
どちらも日常生活では余り使う機会が少ないものの文章などでは普通に使われている言葉ですが、このふたつの言葉はどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「壮大」と「荘厳」の違いについて解説します。
「壮大」とは?
「壮大」とは、「とても大きく立派に見えること」という意味の言葉です。
「壮大」の「壮」という字には「雄々しくたくましい」という意味があります。
とてもエネルギーにあふれている様子を表す言葉で働き盛りを意味する「壮年」やすさまじい異様子を意味する「壮絶」など圧倒されるほどエネルギッシュなことを意味します。
「壮大」は「圧倒されるほど大きい」という意味でありサイズが大きいだけでなく「大きいことで感じられる威圧や畏怖など心に迫るような存在感があるさま」を表します。
「壮大」という表現は規模の大きさと立派さの両方が揃っているものに対して使うのがふさわしく、大きいだけでみすぼらしい物や豪奢でも小さいものに対しては使われません。
見た目の美しさや装飾の巧みさだけでなく歴的価値や背景などが「壮大」な印象を生み出すこともあります。
「壮大」の使い方
・壮大なスケールの映画の企画書を読む。
・ヨーロッパを統一するという壮大な計画。
・野球、サッカー、ラグビーとあらゆるスポーツチームの運営に参入するという壮大な構想が発表された。
・壮大な平原を馬が一頭走っている。
「荘厳」とは?
「荘厳」とは、「おごそかで立派なこと」という意味の言葉です。
「荘厳」はもともとは仏教用語で「仏の身を善行で飾ること」を意味する言葉でした。
「仏のみを飾り立てる」ところから転じて「仏像や仏道などを飾る」という意味で使われるようになり、さらにそこから転じて仏教関連以外のものが飾られている様子に対しても使われるようになりました。
仏像や仏道を飾るときはおごそかに飾るものなので「おごそかで立派」である様子のことを「荘厳」と表現します。
一般的には「豪華でありながら厳粛な雰囲気」のときに「荘厳」という表現が用いられます。
お寺や神社、協会やモスクなどの宗教関連の施設や儀式のほか、城や宮殿など豪華で格式の高い場所特有の雰囲気を表す言葉としても使われます。
「荘厳」の使い方
・荘厳な雰囲気の中式典が開かれた。
・会場は荘厳にして暖かな雰囲気ん包まれている。
・荘厳な仏道の空気に圧倒される。
・赤ん坊の鳴き声が荘厳中以上に響き渡った。
「壮大」と「荘厳」の違い
「壮大」と「荘厳」の違いは「重々しさ」です。
「壮大」は大きさを意味する言葉であり圧倒されるほどの存在感のあるものに対して使われます。
「荘厳」は格式高く立派おごそかな雰囲気を意味する言葉です。
大きさや広さなどは関係なく、伝統や格式など空気感によって決まります。
大きな会場で宗教儀式が執り行われるとき、会場の大きさを表す場合は「壮大」で会場に漂う重々しい雰囲気を表す場合は「荘厳」と使い分けられます。
まとめ
「壮大」と「荘厳」はどちらも圧倒されるような印象を受けることを表す言葉ですが、何に対して圧倒されているのかに違いがあります。
大きさなのかそれとも雰囲気なのか、圧倒される理由を見極めてふさわしい言葉を選んでください。