社会には常識の範囲内での行為が当たり前のことという認識がありますが、中には想定外の言動の人が少なくありません。
そのような人たちを指して「逸脱」や「濫用」という言葉で表現することがあります。
そこでこの記事では、「逸脱」と「濫用」の違いを分かりやすく説明していきます。
「逸脱」とは?
「いつだつ」という読み方をする「逸脱」は「本筋から外れること」、あるいは「誤って抜かし落とすこと」「抜けること」という意味を持っています。
「濫用」とは?
「濫用」は「らんよう」という読み方になります。
意味としては、「権利や権限などやものなどをみだりに用いること」ということを言っているのですが、特に権利・権限を行使する際に用いられており、「権限を与えられた人間がその権限を本来の目的とは異なることに用いること」を意味していることが多い言葉です。
「逸脱」と「濫用」の違い
では、ここで「逸脱」と「濫用」の違いを見ていきましょう。
どのような相違点があるのでしょうか? 「逸脱」は前述の通り「あるところから外れていること」を意味しています。
ここで言う「外れている」ということは、マラソンなどのレースで走者がコースを外れてしまうとったようなケースで使われますが、実際に「道を外れていく」という意味でも使うことある一方で、本来の目的や状況から外れて全く違う方向に進んでいくようなシチュエーションでも使われています。
「濫用」は「ある限度を超えてみだりに使用する」という意味から「定められた一定の社会的な常識・規範を超えて使用してしまう」ということで特に悪い意味で使用されることが多いです。
「逸脱」の例文
「逸脱」の例文は以下の通りです。
・『彼の言っていることはから逸脱しているよな』
・『君がやっていることは本来の業務から逸脱しているんだよ』
上記の例文を見ると「コースを外れる」という解釈が転じて、「本筋とは全く違った(誤った)方向に進んでいってしまっていることが分かるかと思います。
「濫用」の例文
「濫用」の例文は下記のようなものが挙げられます。
・『民法では権利の濫用は許されていないという規定があることを知っていますか?』
・『家賃滞納している人に対して貸主がガス・水道を止めるのは権利の濫用に当たる』
「濫用」の例文では「権利の濫用」という言葉で使われいますが、ある権利を持った人間が有利な立場にいて、本来の目的ではないところで行使していることが理解できるでしょう。
まとめ
「逸脱」と「濫用」の意味や違いを説明してきましたが、これらの言葉はビジネスシーンだけでなく、法的な面でも使われていることが理解できたかと思います。
私たちは日常生活の中でも、社会常識に照らし合わせて行動をしていますが、中には「逸脱」した言動を見せたり、権利の「濫用」する人が後を絶ちません。
ここは襟元を正して正々堂々と行動していくことをあらためて考え直させられることなのかもしれません。