この記事では、「厚かましい」と「おこがましい」の違いを分かりやすく説明していきます。
「厚かましい」とは?
「厚かましい」とは、恥や慎みを知らないさま、他人を敬う気持ちが感じられないことです。
「厚かましい」という言葉の語源は諸説ありますが、「面の皮が厚い」と同じ意味を持つ「暑皮」【あつかわ】と関連しているのではないかといわれています。
「面の皮が厚い」は、感情が表面に出ないことを「顔の皮が厚い」という表現に例えた慣用句です。
つまり、表情も変えずに平気で嘘をつく、いくら非難を受けても動じない、といったふてぶてしさ、図太さを指します。
同様に「厚かましい」も、恥を知らず図々しい、人の迷惑を考えず遠慮がない様子を表す言葉となっています。
類語は、「面の皮が厚い」と同じニュアンスを持つ「厚皮」「厚顔」【こうがん】「鉄面皮」【てつめんぴ】です。
「厚かましい」の使い方
「厚かましい」は、恥や遠慮を知らない、他人の迷惑を考えないといった意味を持つネガティブな言葉です。
「あいつは厚かましい奴だな」のように、他人に対して「厚かましい」という表現を使うと、非難や悪口になってしまいます。
一方、他人に対してお願いをする際は「厚かましいお願いですが…」のように、へりくだる言い方をすると、丁寧で印象の良い頼み方になります。
「厚かましい」と自身をへりくだることで、相手に対して「迷惑をかけてしまって申し訳ない」をいう気遣いが加わり、相手を敬う言い方に変わるためです。
「おこがましい」とは?
「おこがましい」は出過ぎたことをしている、くだらないことをしている、と自分を卑下するときに使う言葉です。
「おこがましい」は、「烏滸」【おこ】という名詞に接尾語の「がましい」をつなげた言葉で、「烏滸のような傾向がある」という意味を持ちます。
「烏滸」は、こっけいな仕草で人を笑わせるばかげた笑い、くだらないことを意味し、「がましい」は、前にある言葉にかかって「~の傾向がある」という意味を持たせます。
そして、これらを組み合わせた「烏滸がましい」は、ばかげていてもの笑いにされそうなさま、至らないくせに出しゃばってみっともないことを表します。
類語は「差し出がましい」「分不相応」【ぶんそうおう】「僭越」【せんえつ】です。
いずれも自分の立場に合わない生意気な態度を取る、という意味を持っています。
「おこがましい」の使い方
「おこがましい」は、立場や地位を超えて出過ぎた態度を取ることを意味する、ネガティブな言葉です。
他人の言動を形容する時に使うことはなく、自分のことをへりくだるときに使います。
主に、他人に対して意見するとき「おこがましいようですが…」と前置きする使い方をします。
こうすることで恐縮している様子が伝わり、相手の気分を害さずに意見を述べることができるようになるのです。
「厚かましい」と「おこがましい」の違い
「厚かましい」と「おこがましい」の違いを、分かりやすく解説します。
どちらも、図々しい、身の程を知らない、という意味を持つ、ネガティブな言葉です。
ただし、自身をへりくだった使い方をすると相手へ敬意を示す効果が生まれます。
二つの言葉の違いは、「厚かましい」が他人を非難するときと自身がへりくだるときに使えるのに対し、「おこがましい」は自分がへりくだるときにしか使わないところです。
まとめ
「厚かましい」と「おこがましい」はよく似た意味を持ちますが、使い方が異なります。
ビジネスシーンで使うことが多いので、正しい意味と使い分け方はぜひ理解しておきましょう。