ネット上で見かける独特な表現のひとつに「メリバ」があります。
他では耳にすることがまずないこの言葉、一体どのような意味なのでしょうか。
今回は、「メリバ」の意味と類似表現について解説します。
「メリバ」とは?意味
「メリバ」とは、「作中の登場人物にとってはハッピーエンドだが読者はバッドエンドと受け取る物語の結末」を意味する言葉です。
「メリバ」の概要
「メリバ」というのは「メリーバッドエンド」を省略した言葉です。
お祝いを意味する「メリー」と不幸な結末を意味する「バッドエンド」が合わさった正反対の意味で構成されているこの言葉は「幸せでありながら同時に不幸でもある結末」という矛盾する要素を表すために作られたネットスラングです。
物語の結末は幸せに終わる「ハッピーエンド」不幸な終わり方をする「バッドエンド」幸せでも不幸でもない普通の終わり方で締めくくられる「ノーマルエンド」の3つに大別されます。
古今東西の物語は全てこの3種類のうちのどれかに分類されますが、中には例外的に当てはまらない結末のパターンも存在します。
「メリバ」はどれにも当てはまらない例外的な結末を指す言葉です。
ある物語が終わるとき、登場人物がどのような状況を迎えているかによってハッピーエンドかバッドエンドかそれともノーマルエンドなのかを区別します。
しかし、中には「作中の登場キャラクターにとっては幸福だが作品を客観的な視点で観ている読者からすると不幸な終わり方にしか思えないような結末」という特殊な終わり方をする作品も存在します。
そのような「キャラクターは幸福だが読者にとっては不幸な終わり方」を指す言葉が「メリーバッドエンド」つまり「メリバ」です。
例えば「大魔王は倒され世界に平和が訪れたが主人公とその仲間は全員死亡」というような結末は世界平和が達成されたという幸福な結末であると同時に読者からすると思い入れのあるキャラクターが全員死亡してしまう不幸な結末です。
さらに作中で生き残ったのキャラクター達が主人公の活躍を知らなかったり忘れ去っていたりすると読者のは不幸な結末であるという思いをより強くします。
このような「作中の幸福描写と読者の不幸感の乖離が大きいエンディング」を指して「メリバ」と表現します。
「メリバ」の言葉の使い方や使われ方
・『メリバ出終わった作品はあまり読み返したくならない』
・『メリバで残るのは後味の悪さだけだ』
・『この作者はどの作品もメリバで終わる作風だ』
・『雑なメリバは気分が悪くなる』
「メリバ」の類語や言いかえ
・ビターエンド
「幸福でありながらも不幸せな部分もあるほろ苦い結末」を意味する言葉です。
尊い犠牲のおかげで平和が訪れた、というような全面的な幸福ではなくどこかに悲しみや後悔を含むような終わり方を指します。
「メリバ」のような読者の視点は含みませんが登場キャラクターの立ち位置や性格によってエンディングの受け止め方や感じ方が変わるという点で「メリバ」に近しい意味合いが含まれています。
まとめ
「メリバ」という言葉自体は2010年頃にネット上で誕生した比較的新しい言葉ですが、形式そのものは昔からある古典的な手法です。
物語の奥深さを際だたせる手法ですがひとつ間違うと単なる嫌な結末になってしまうので表現技法として用いるときは注意しましょう。