SNSで話題を集めやすいテーマのひとつに「デザインの敗北」があります。
普段あまり耳にすることのないこの言葉、いったいどんな意味なのでしょうか。
今回は、「デザインの敗北」の意味と類語について解説します。
「デザインの敗北」とは?意味
デザインの敗北とは、「凝ったデザインのせいで本来の目的や用途が伝わらず注意書きなどが貼られてしまいかえって見た目が悪くなってしまうこと」を意味するネットスラングです。
「デザインの敗北」の概要
シンプルデザインや抽象デザインなど見た目のよさを重視したデザインはいわゆる意識高い系に好まれます。
極力余計な情報を排除したデザインは美的には優れているものの肝心の機能性を置き去りにしているという問題が付きまいます。
例えば、エレベーターのボタンに「開」「閉」と書かれていれば何のためのボタンなのかが一発でわかりますが。
見た目を重視したアイコンデザインをボタンに採用するとどちらが「開く」でどちらが「閉じる」なのかわかりにくく、ぱっと見て瞬時に理解できないことがあります。
このようなデザインのせいで情報伝達が阻害されてしまっている状況というのは本来の意味でのデザインが想定しているものではありません。
デザインとは機能美のことであり誰にでもわかりやすく間違えることなく情報が伝わるような者が優れたデザインであるはずなのに、実際には見た目ばかりを重視したデザインによって機能が損なわれているケースがよくあります。
このようにわかりにくいデザインに対するクレームが多い場合、管理者はトラブルを防ぐために注意書きを添えたりシールを貼ったりして文字で機能を説明したりとスムーズな利用を促します。
本来は見た目重視で完成させたはずのデザインなのにそのデザインがわかりにくかったせいで逆にごちゃごちゃと見苦しい文字だらけの状態を発生させてしまいます。
「デザイン性の高さが原因で逆にデザイン性を損なう結果を招いてしまうこと」を指して「デザインの敗北」と表現します。
余計な情報を省いたデザインが実は必要な情報まで省いてしまっていた、というような理由により「デザインの敗北」は発生します。
「単純だが何を表しているのか理解できないピクトグラム」「何の意味だかわからない頭文字だけが書かれたボタン」「シンプル過ぎて見分けがつかないアイコン」など使う人のことを考えないデザイナーの手によるデザインはデザインの敗北」になりがちです。
「デザインの敗北」の言葉の使い方や使われ方
・『男女の区別がわかりにくいトイレの看板はデザインの敗北というほかない』
・『意識高い系のデザイナーほどデザインの敗北に陥りやすい』
・『テプラが貼られた時点でデザインの敗北は確定だ』
・『デザインの敗北になるのは偶然ではなくきちんとした理由がある』
「デザインの敗北」の類語や言いかえ
・デザインではなくデコレーション
「機能を追求することなく見た目を盛るだけのデコレーションをデザインだと勘違いしている」という意味の言葉です。
デザインの第一人者があるテレビ番組でいった言葉で、デザインと「デザインの敗北」の違いを端的に示しています。
・おしゃれ気取り
「ハイセンスを気取っていても中身が伴っていない」という意味の言葉です。
見てくれにこだわって失敗する「デザインの敗北」とは意味がよく似ています。
まとめ
「デザインの敗北」という言葉自体は比較的新しいものですが、そのような事例は昔から数多く見られていたものです。
デザインの力があらためて注目される今、使いづらい「デザインの敗北」がひとつでも減ることを祈るばかりです。