この記事では、「憮然」と「呆然」の違いを分かりやすく説明していきます。
「憮然」とは?
 期待が外れたり、希望通りになったりせずにがっかりして、どうすることもできないさまです。
 本来の意味とは違った、腹を立てているという意味で理解している人が少なくありません。
 文化庁がこのことを調査し、発表しています。
「憮」には、がっかりする、「然」には、他の語につけて状態を表す語の意味があります。
 今度の選挙では、自分が応援している政党が与党に選ばれるとよいと考えていたとします。
 しかし、結果は期待していた通りにはなりませんでした。
 選挙の結果は自分の力でどうにかすることはできません。
 そんなときに気力をなくしたり、がっくりすることがあるでしょう。
 このようなさまを意味しています。
「憮然」の使い方
 期待通りにならずにがっかりして、何もできずにいる状態のときに使用をします。
 しかし、腹を立てているという意味で使われていることが少なくありません。
「呆然」とは?
「呆然」には2つの意味があります。
 一つは、意外な出来事にあい、ぼんやりしているさまです。
「呆」には、おろか、ぼんやりしている、あっけにとられるという意味があります。
「然」は「呆」が持つ意味の状態であることを表しています。
 たとえば、映画に一緒に行こうと誘われて、その誘った人がものすごく張り切っていたとします。
 張り切っているのだから、当然当日は映画に行くだろうと思うでしょう。
 しかし、直前になって突然約束をキャンセルされてしまいました。
 このようなときに、ぼんやりしてしまうはずです。
 もう一つの意味は、張りつめていた気持ちが一気に抜けて、ぼんやりとするさまです。
 試験前には猛然と勉強をする人は少なくないことでしょう。
 このとき、気持ちが張りつめているはずです。
 試験が終わるとほっと一息でき、一時に気持ちが抜けて、ぼーっとしたような状態になることがあります。
 そのときの状態です。
「呆然」の使い方
 気が抜けている状態を指して使用する言葉です。
 意外な出来事があったときや、張りつめていた気持ちが抜けたときに、ぼんやりすることをいいます。
「憮然」と「呆然」の違い
 どちらの言葉にも「ぼんやりする」という意味合いがあるのですが、なぜぼんやりするのかという点に違いがあります。
 前者は失望や落胆によるもの、後者は意外な出来事や気抜けによるものです。
 どちらの言葉にも「然」という漢字が使用されており、前の漢字が示す状態を表しています。
「憮然」の例文
 ・『憮然として固まってしまった』
 ・『憮然とした表情』
 ・『その話を聞いて憮然とした』
 ・『もう憮然とするしかない』
「呆然」の例文
 ・『しばし呆然としてしまった』
 ・『その出来事に呆然とした』
 ・『呆然としつつも現実を受け入れた』
 ・『呆然とするのも仕方がない』
まとめ
 どちらの言葉にもぼんやりとするという意味合いがありますが、なぜぼんやりするのかという点が違います。


