「強請る」と言う漢字には「ねだる」と「ゆする」のふたつの読みがあります。
同じ漢字なのに読みが異なるということは意味にも違いがありそうですが具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「ねだる」と「ゆする」の違いについて解説します。
「ねだる」とは?
「ねだる」とは「甘えた態度でお願いすること」と言う意味の言葉です。
「ねだる」は主に物や金銭などを甘えたように要求することをさして使われる表現です。
ただ欲しいと頼むのではなく相手に好かれるように甘えた態度でお願いするのが大きな特徴で、主に女性や幼い子供など弱い立場の人間がその弱さを武器にして頼み事をするときに使われる表現です。
一般的にはかなり親密な相手に対してのみ使われ、初対面の人間にいきなり「ねだる」ことは、それが仕事の一部になっているようなクラブホステスなどの例外を除いてほとんどありません。
「ねだる」は何かを買ってもらうなどお願いする側にとって一方的な利益となるようなときに使われる表現です。
ほとんどは物を要求する場合を指しますが権力者に特に目をかけられている人間が上の地位につけてもらいたいと願うことを指して「ねだる」と表現するように、物の要求以外でも使われることがあります。
「ねだる」の使い方
・子どもが親にお菓子を買ってほしいとねだる。
・恋人から指輪を勝手とねだられた。
・彼女はねだるばかりでお礼やお返しを一切しない。
・いい年をして相手にプレゼントをねだるようなみっともないマネはよせ。
「ゆする」とは?
「ゆする」とは「相手の弱みとなるようなことをチラつかせて無理な要求をすること」と言う意味の言葉です。
「ゆする」には相手を脅すという悪事の要素が含まれます。
正攻法では通用しない要求をする際に相手に取って不利益になりうる弱みを見せて「要求を飲まなければ報復行為に出る」と脅しつけて無理やり要求を通す行為が「ゆする」の意味するものです。
脅しや脅迫の要素は含まれますが比較的程度の軽いもののことを「ゆする」と表現します。
直接的な暴力や大規模な報復行為ではなく、相手の価値観や損得をゆさぶる程度の比較的軽度のおどしを持って要求する行為が「ゆする」に該当します。
一般的には金銭や物品を要求することの他にも特別な待遇や便宜をはかるなど軽い脅しで対価を要空する行為全般が「ゆする」に含まれます。
「ゆする」の使い方
・悪徳探偵が不倫の証拠写真を使って調査対象者をゆする。
・小銭目当てにカタギをゆするのはチンピラのやることだ。
・スキャンダルをタネにゆすられたが毅然とした対応で追い返した。
・私に脅しは通用しない。ゆする相手を間違えたな。
「ねだる」と「ゆする」の違い
「ねだる」と「ゆする」はどちらも相手に要求する行為ですが態度が全く違います。
「ねだる」は甘えるような態度で相手の好意に訴えかけて要求を叶えようとします。
お願いする側とされる側は親密な関係であり、仲のよさを利用するのが「ねだる」です。
「ゆする」は脅しの要素を含むお願いであり相手の弱みを握って不当に要求を通そうとする行為です。
お願いする側とされる側は敵対関係であり場合によっては犯罪行為にもなりかねません。
まとめ
同じお願いする行為を指していても「ねだる」と「ゆする」では全く意味が異なります。
それぞれの言葉の意味似あわせてふさわしい使い方をしてください。