この記事では、「むきになる」と「やけになる」の違いを分かりやすく説明していきます。
「むきになる」とは?
「むきになる」とは、小さなことで腹を立てて本気で怒ること、はむかうことです。
「むき」は漢字で「向き」とも書きます。
この「向き」は、相手のほうを向いている、向かっていることを意味しており、「向きになる」は腹を立てた相手に向かってたてつく様子を表します。
「むきになる」は、それほど怒るほどのことではないのに感情的になって怒ったり反論したりする様子を指します。
子どもっぽい、気が短い印象を与える行動ということもあり、ポジティブな意味では使われない言い回しです。
人が「むきになる」のは、自分の弱点を指摘されたから、気持に余裕がなくイライラしているからといわれます。
また、負けず嫌いな人や自分にコンプレックスを持っている人はむきになりやすい傾向があります。
類語は「カッとなる」「頭に血がのぼる」「分別を失う」などです。
類語からも、瞬時に怒りをおぼえ興奮する様子がうかがえます。
「むきになる」の例文
・『冷蔵庫のプリンを勝手に食べたくらいで、むきになって怒るなよ』
・『そんなにむきになるなんて、私の指摘は図星だったようね?』
「やけになる」とは?
「やけになる」とは、自分や世の中のことがどうでもよくなり、自分を見失って投げやりな態度をとることです。
「やけを起こす」「やけくそになる」ともいいます。
「やけ」には漢字の「自棄」または「焼け」があてられています。
「自棄」【じき】と表記するように「やけ」は自分を棄てる、粗末にすることを意味しています。
また「焼け」は、火事で全財産を失い、世の中のことがどうでもよくなる心境が語源となっています。
「やけになる」は、ショッキングな出来事に遭遇したせいで前向きな気持ちがすっかり失せ、自分を粗末にするような投げやりな行動に走ってしまうことです。
このように人が「やけになる」のは、辛い現実から逃げたい気持ちになるため、思い通りにならずいきどおりを感じるためともいわれます。
類語は「自暴自棄になる」「捨て鉢になる」「自我を失う」などです。
類語からも自分を見失ってことを起こす様子がうかがえます。
「やけになる」の例文
・『失恋のショックから、やけになって深酒をしている』
・『試験に落ちてしまい、やけになって参考書を全て捨ててしまった』
「むきになる」と「やけになる」の違い
「むきになる」と「やけになる」の違いを、分かりやすく解説します。
「むきになる」は、些細な事に腹を立てて本気で怒ることです。
「やけになる」は、自分を見失って投げやりな行動に走ることです。
どちらも感情に任せて突発的な行動に走る様子を表しますが、「むきになる」は怒りの感情を伴うところ、「やけになる」はもうどうでもいいようなあきらめの気持ちになるところが異なります。
まとめ
「むきになる」と「やけになる」はニュアンスが似ていて混同されやすいのですが、互いに類語の関係を取ることもなく、それぞれの意味は異なります。
正しい意味と両者の違いを理解し、正しく使い分けをしていきましょう。