この記事では、「わずか」と「たった」の違いを分かりやすく説明していきます。
「わずか」とは?
「わずか」とは、数や程度がとても少ないこと、ほとんどないことを意味する形容動詞です。
漢字を宛てると「僅か」になります。
漢字の「僅」は、にんべんと「菫」【きん】を組み合わせた象形文字です。
成り立ちを見てみると、にんべんは人を、「菫」は日照りの雨ごいをする様子を描いており、雨が非常に少ない様子を指しています。
「僅」は、その意味が転じて、ものがとても少ないことを示す漢字になっています。
「わずか」は、「わずかな」「わずかに」などの形で数、時間、程度が少ないことを意味します。
またその少なさは「かろうじて」「ほとんどない」「たった~だけしかない」と言い換えられるほど、非常に少ない様子を示しています。
類語は「かすか」「ささやか」「形ばかり」「心もち」です。
これらは「ほぼないに等しいが、あるように感じられる」といったあいまいな評価を指しています。
「わずか」の例文
・『空席はあと3席と、残りわずかになっております』
・『わずかな音にも敏感に反応する』
「たった」とは?
「たった」とは、数量や程度がとても少ないこと、またはほんの少し前であることを強調する副詞・連体詞です。
これは副詞の「唯」「只」【ただ】の音が促音に変化したもので、「ただ」と同様にものがとても少ない様子を指す言葉になっています。
「たった」は、ものの少なさに対し「これだけしかない」「ほんの少し」と評価するニュアンスを持ち、主に二つの使い方がされています。
一つは、数詞の前に付いてものの数量が少ないさまを強調する用法です。
程度、数量を表す言葉と組み合わせ「たったこれだけ」「たった1個」などと言い表します。
もう一つは、時間や空間を表す体言の前に付いて、ごく最近であることを強調する用法です。
たとえば「たった今」は、今より少しだけ前、つまり「直近」を表すことになります。
また許容限度を表す「だけ」「きり」と組み合わせることで、強調する意図がいっそう高まります。
類語は「僅々」【きんきん】「唯々」【ただただ】「ほんの」などです。
どの言葉も「たった」と同様に、とても少ない様子を表すときに使われています。
「たった」の例文
・『1か月のおこづかいがたった100円じゃ、ほとんど何も買えないよ』
・『たった10分で本格的な料理を作る』
・『この洗剤を使えば、たった1回だけの洗浄でピカピカになる』
「わずか」と「たった」の違い
「わずか」と「たった」の違いを、分かりやすく解説します。
「わずか」と「たった」は共にものの数や程度が非常に少ないことを意味し、互いに類語の関係が成り立っています。
これらの持つ意味はほぼ同じです。
「わずか」は、事実として「数量や程度がほとんどないに等しい」「かろうじてある状態」を指します。
対して「たった」は、「これだけしかない」と少なさを強調するはたらきがあり、ものの少なさに対する主観的な評価や感情を伴っているところが「わずか」と異なります。
まとめ
「わずか」と「たった」は類語にあたり、ほとんど同じ意味で使うこともできますが、少なさを表現するニュアンスは微妙に異なります。
「わずか」と「たった」を細かく使い分ければ、より深みのある表現を作ることができるでしょう。