「リリック」
「リリック」は英語で“lyric”と書きます。
スペリングが難しいので日本ではまず片仮名表記されています。
「リリック」の意味
「リリック」の意味と由来などについて紹介します。
「抒情詩」という意味
「リリック」は本来古代ギリシャ発祥の「叙情詩(じょじょうし)」を意味する言葉です。
叙情詩とは、作り手の感情を素直に表現した詩で、作者の内面的な考えや気持ちを表しています。
「リリック」と呼ばれる由来は、当時ギリシャで「“lyre”(リラ)」と言われる竪琴に合わせて叙情詩を歌い披露していたことから来ています。
当時はとてもロマンチックな内容のものが多く、詩人が感性豊かに歌い上げていました。
そこから「リラを奏でて歌う叙情詩=リリック」として使われる様になったのです。
「歌詞」という意味
竪琴で奏でられた「リリック」は口語ですのでその場で消えてしまいます。
そこでその「リリック」の内容を文字にして記録する様になりました。
これが「歌詞」であり、多くのリリックが後世に残されています。
このことから現在では「リリック」は単純に「歌詞」という意味で使われます。
クラシックの歌から現在流行っているまで幅広く使われています。
「ポエム」との違い
一般的に詩と言えば「ポエム」と英訳する人も多いでしょう。
「リリック」も「ポエム」も自分が思っていることを文章で表現することなので、違いが分かりにくいものです。
この2つの違いは「ポエム」は自分が思った通り文を書くことで「散文詩」と呼ばれます。
つまり、出だしから盛り上がり、サビなどの流れは決まっておらず、口語でなくても構いません。
これに対して「リリック」は、歌う為に作られているので詩に流れがあり、耳馴染み易い言葉が使われます。
「リリック」の言葉の使い方
「リリック」は「ラップの歌詞」と思っている人もいますが、それだけではありません。
クラシックから現在流行っているポップスまで、「歌詞」を意味する言葉として使えます。
英語ではアーティストやグループの持ち歌として使う時には“lyrics”と複数形になります。
最近ではインターネットで洋楽の歌詞を検索できる様になっていますが、その際には複数形で表記されます。
アーティストのクレジットとして“songs and lyrics”というのは「作詞・作曲」を意味しています。
また、派生語で「リリカル」という言葉もよく使われます。
「リリカル」は「叙情的な様子」「叙情詩的」という形容詞として使われます。
「リリック」を使った例文・短文(解釈)
「リリック」を使った例文と解釈を紹介します。
「リリック」の例文1
「〇〇の新曲はメロディーだけじゃなくてリリックも素晴らしい」
音楽を聴いた時にはまずメロディーが耳に入ってきます。
しかし何度も聴いているうちに歌詞の内容が素晴らしいことに気付き、いつしかファンになっていることもあるのです。
人を感動させる歌詞という意味で「リリック」が使われています。
「リリック」の例文2
「今回はリリックに凝ってみたから聴いてみて」
本来英語の「リリック」は、文章の終わりで韻を踏むことが多くなります。
韻を踏みながら意味を通じさせるにはかなりのテクニックが必要です。
一方日本語の歌詞では韻を踏むことはほとんどありません。
作者が日本語でも韻を踏むなどして歌詞にこだわった様子が表れています。
「リリック」の例文3
「このCDに付いているリリックはどうも合ってないみたいだ」
日本向けの洋楽のCDは、日本に入って来てから誰かが歌詞を聴き取りCDに付けて販売しているものもあります。
絶叫系のロックだと人により聴き取りが違ってくることがあるという文です。
「リリック」の例文4
「誰か中原中也のリリックを曲にしてくれないかな」
中原中也は日本で叙情詩作家として有名です。
この人の作品に曲を付ければ本来の意味である「リリック」となるでしょう。