日本語は世界でも最も難しい言葉と言われていますが、敬語もその1つでしょう。
中でも「丁重語」「丁寧語」の使い方も意外と難しいのですが、どのような違いがあるのでしょうか?
そこでこの記事では、「丁重語」と「丁寧語」の違いを分かりやすく説明していきます。
「丁重語」とは?
「ていちょうご」と言われる「丁重語」は「敬語の一種であり形は謙譲語に似ているものの、その働きは自分の動作など自分に対するの事物を丁重に表す表現」とされています。
言い換えると、「自分側の行動・言動やものごとを聞く相手に対してていねいに伝える表現のこと」を意味しているのです。
「丁重語」は、本来謙譲語の1つとして扱われていたのですが、敬意を示す方向が謙譲語とは異なっているために、最近になって新たに分類されたものです。
「丁寧語」とは?
「丁寧語(ていねいご)」も敬語の1つのなるのですが、助動詞の「ます」「です」「でございます」など、「判断の作用の表わす時にていねいな要素を加味した語のこと」を指しています。
尚、「丁寧語」には「酒」→「お酒」、「召物」→「お召物」といったように「物の言い方を上品な表現にさせる美化語も含まれています。
「丁重語」と「丁寧語」の違い
ここで「丁重語」と「丁寧語」の違いを改めて考えてみましょう。
「丁重語」は、「自分の動作を位の低い言葉で表現することで相手の位を上げる」という敬意を表している敬語と言ってもいいでしょう。
1つの活用例としては「私は佐藤と言います」を「私は佐藤と申します」という表現は「これから行きます」を「これから参ります」などの活用で表現するパターンです。
「丁重語」を使うことで、言葉自体に上品さをくわえて相手にていねいな印象を与えるのです。
また、相手を敬っている心境が伝わっていくことも特徴と言えるでしょう。
「丁寧語」は「ていねいな言葉の使うことによって、相手への敬意を表する敬語」となります。
身近なシチュエーションとしては、「連絡する」を「連絡」という表現にしたり、「こっち」を「こちら」というような表現方法。
「丁重語」と比べて自分の行動や言動を表す言葉をへりくだるような表現にするのではなく、語尾・動詞などをていねいな言い方で変えることで、上品さとていねいさを相手に印象づけつつ敬意を表すのです。
「丁重語」は通常「ます」を後ろにつけて使いますが、主な語としては「いたします」「申しました」「参りましょう」「存じません」などが挙げられます。
丁寧語では「ございます」「です」「ます」などの語が代表的なものになるでしょう。
「丁重語」の例文
「丁重語」の例文は以下の通りです。
・『“近くまで参ります”というのも丁重語です』
・『“言う”を丁重語で表現すると“申す”になります』
「丁寧語」の例文
「丁寧語」の例文は以下の通りです。
・『丁寧語は話し手が聞き手に対し敬意を表してていねいに言う語です』
・『丁寧語では“ございます”を使うことがある』
まとめ
「丁重語」と「丁寧語」の違いを説明してきましたが、改めて日本語の難しさを痛感された方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、日常生活の中でも使われるものなので、ここでしっかりと理解をしておきたいものです。